軽快なスイフトハイブリッド

 ではまず、スイフトハイブリッドから走り出してみる。アクセルを踏み込んでまず感じるのは、マイルドハイブリッド仕様でも感じたことだが、軽量な車体がもたらす軽快な走りだ。このコラムの第76回ですでに紹介しているように、現行型のスイフトは、先代スイフトに比べて最大で120kgもの軽量化を果たしている。今回のハイブリッド仕様は、モーターや電池を積むせいで、マイルドハイブリッド仕様に比べて約60kg重くなっている。マイルドハイブリッド仕様自体が、通常のエンジン仕様に比べて約40kg重くなっているので、合計でベースのガソリン車より約100kg重くなった計算だ(実際には装備の違いがあるので、実質的な差はもっと小さいが)。

 それでも、今回のハイブリッド仕様の車両重量は前輪駆動仕様(HYBRID SL)で960kgと、1000kgを切っている。これは、この後で紹介するフィットハイブリッド(前輪駆動仕様)の1080kgに比べると100kg以上も軽い。スイフトのほうが車体も小さく、室内スペースや荷室も小さいのでフェアな比較ではないのだが、それでもスイフトの軽さは際立っている。

 そして、これは従来のマイルドハイブリッド仕様でも感じていたことだが、軽量化していても、ボディ剛性や乗り心地などが犠牲になっていない。確かに、ドイツ車のようなガッチリとしたボディ剛性というわけではないが、サスペンションのばねの硬さ、車体の剛性、そしてシートの硬さが高い水準でバランスしている。しかも路面から伝わった衝撃を丸めて伝えてくるので、運転していて不快感がない。またシートの出来がいいので、左右にステアリングを切ったときのクルマの動きとドライバーの間に一体感がある。これが運転の楽しさにつながっている。

 また、ソリオのときもそうだったのだが、モーターとの組み合わせで、AGSの欠点をうまく消しているのも特徴だ。AGSは伝達効率が高く、燃費の面では有利なのだが、変速時に動きがぎくしゃくするのが難点だった。これは、変速時にクラッチを切るので、加速時などに駆動力が途切れてしまうのが原因だ。これに対して、今回のハイブリッドシステムでは、クラッチが切れたときにはモーターで駆動力を補うのでこのぎくしゃく感がない。フィットのようにDCTを使えばそもそも駆動力が途切れないのだが、DCTよりも機構が簡単でコストも低いAGSでも滑らかな変速を実現しているのは、設計の妙といえる。

 もう一つ印象的だったのがエンジン始動のショックが小さいことだ。通常のハイブリッドでは、まずモーターで発進し、しばらくEV走行してから、途中でエンジンを駆動系に接続することでエンジンを始動する。駆動系にはエンジンを再始動するための余計な抵抗が加わるわけで、モーターの出力を上手に制御していても、始動のショックが車両に伝わる。これに対して、スイフトハイブリッドではエンジンの始動はISGに任せているので駆動系に伝わるショックが小さい。筆者はハイブリッド車に乗っているときにエンジン始動のショックがけっこう気になるほうなのだが、スイフトではそういうことがなかった。

上級車らしさ感じるフィット

 スイフトからフィットに乗り換えると、車体が大きく、室内も広いことも手伝って、同じBセグメントの車種でありながら、1クラス上級の車種に乗り換えたような感覚がある。フィットのシートのほうが、感触がソフトで身体を柔らかく受けとめてくれるせいもあるだろう。走り出すと、今回の試乗車が最上級車種の「HYBRID・S Honda SENSING」だったこともあり、静粛性も高い。というのもこの車種は、フロントウインドーに遮音ガラスを装備するなど、上級車種からの乗り換えユーザーである「ダウンサイザー」を意識した仕様だからだ。

 一方で、足回りは意外と硬めで、高速道路では安定した走行性能を示すのだが、低速走行で状態の悪い路面を走行したときには、ざらついた感触を車体に伝えてくる。シートが柔らかめなのでその感触が直接には身体には伝わってこないのだが、逆にそのことが、車体と身体が遮断されているように感じる。上級車的な快適性を備えているのはフィットハイブリッドだが、クルマとの一体感や低速での乗り心地という点ではスイフトに魅力を感じた。

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