エンジンを大きくしてEVに近づける?

 三菱自動車の説明によれば、今回の最新モデルでエンジン排気量を大きくしたのは「よりEVらしくする」ためなのだという。EVらしくするなら、エンジンはむしろ小さくするのが自然ではないか? そういう疑問を抱きながら話の続きを聞く。すると、アウトランダーPHEVのオーナーからは「なるべくエンジンをかけたくない」「エンジンがかかるとちょっとがっかりする」という声が多いのだそうだ。モーターだけで走るEV走行の静かさ、滑らかさを経験すれば、エンジンがなるべくかかって欲しくないと感じるのもうなずける。

 そこで今回は、エンジンがなるべくかからないようにする改良を盛り込んでいる。具体的にはバッテリー容量を従来の12kWhから13.8kWhへと15%アップし、併せて出力(単位時間当たりに取り出せる電力の量)も10%向上させた。リアモーターも最大出力を従来の60kWから70kWに増大させている。この結果、バッテリーだけで走行可能な距離が従来の60kmから65kmに伸びたほか、モーターだけで出せる最高時速も従来の125km/hから135km/hになった。つまり、EV走行可能な距離や速度領域が従来よりも拡大し、そのぶんエンジンがかかりにくくなったわけだ。

 とはいえ、バッテリー容量を使い切ってしまえば、やはりエンジンはかかる。これまでの部分改良でも、遮音性能を上げるなどしてエンジンがかかったあとの静粛性を、なるべくEV走行時に近づけてきたが、今回は従来の改良よりも一歩踏み込んで、「エンジン始動後でさえもEVであり続けたい」との狙いの下、エンジンの排気量アップに踏み切った。エンジンの排気量を拡大したことで、低回転から高トルクを発揮できるようになり、発進加速時や追い越しなどの中間加速時のエンジン回転数を下げることができた。同様に、30km/h程度の低速走行時やバッテリーの残量が少ない状態でのアイドリング発電時の回転数も下げることができ、その分静粛性を向上させた。

エンジン排気量をアップすることで出力、トルクが向上し、そのぶんエンジン回転数を低くできるため静粛性が向上した(資料:三菱自動車)
エンジン排気量をアップすることで出力、トルクが向上し、そのぶんエンジン回転数を低くできるため静粛性が向上した(資料:三菱自動車)
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 こうした「EVらしさ」を向上させたほかに、最新モデルでは走りの楽しさを向上させる装備を新たに搭載している。従来モデルでは燃費を向上させる「ECO」、通常走行用の「NORMAL」、滑りやすい路面を走行する場合の「LOCK」の三つの走行モードを備えていたが、今回の部分改良では新たに「SPORT」と「SNOW」の二つのモードが付け加えられたのである。SPORTモードはスポーツ走行時の加速性能やコーナリング性能を向上させるモードで、SNOWモードは氷雪路を走行するときに安定性やコントロール性を高めたモードである。

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