さらにいえば、国内市場が日本の完成車メーカーにとってメイン市場ではなくなった、ということもあるだろう。やや古いデータになるが、経済産業省の資料(自動車産業を巡る構造変化とその対応について、2015年11月)によれば2014年に日本の自動車メーカーの世界販売台数の合計は2845万台と、シェアで32.4%を占めた。つまり世界で販売されているクルマの3台に1台は日本メーカー製、あるいは日本メーカーと海外メーカー(主に中国メーカー)の合弁会社製だったということになる。

 ところがこの年の国内販売台数は556万台で、しかもそのうち約34万台は輸入車だった。つまり、日本メーカーにとって国内市場は、いまや販売台数全体の2割以下を占めるに過ぎないマイナー市場なのである。新型車を投入するにしても、巨大市場の米国や中国に投入する車種が優先され、国内で販売する車種にまでなかなか開発リソースを割けないというのが実情だろう。

排気量を0.4Lアップ

 いつにもまして前置きが長くなったが、今回取り上げる三菱自動車の「アウトランダーPHEV」も、現行モデルが登場してから約5年というこのタイミングで、大幅な部分改良を実施した。このコラムでアウトランダーPHEVを取り上げるのは、第33回で2年前の部分改良を取り上げて以来だ。そのときも部分改良としてはかなり大掛かりだったのだが、同社が「2019年型」と呼ぶ最新モデルは、そのときにもまして大幅な改良が加えられている。近く発売を予定しているその最新モデルを、サーキットで試乗する機会があった。

 外観上の変更点はグリルやヘッドランプ、バンパー形状の変更などで、2年前の部分改良では外観の印象が大きく変わったのに比べると、受ける印象はそれほど変わらない。しかし今回の部分改良では中身にかなり手が入っている。改良の最大の目玉は、搭載エンジンがこれまでの排気量2.0L・直列4気筒から、排気量が0.4Lアップされて2.4Lの直列4気筒エンジンになったことだ。

外観上の変更点。ヘッドランプやグリル、バンパー、ホイール、リアバンパーなどが変わった(資料:三菱自動車)
外観上の変更点。ヘッドランプやグリル、バンパー、ホイール、リアバンパーなどが変わった(資料:三菱自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 従来のアウトランダーは、ガソリンエンジンモデルが2.4Lエンジン、PHEV(プラグインハイブリッド車)仕様は2.0Lエンジンと搭載エンジンが異なっていたのだが、最新モデルからは同じ排気量になった。PHEVモデルはエンジンのほかに前後輪を駆動するモーターを備えているので、加速が必要なときなどは駆動力を補うことができる。環境性能を重視するPHEV仕様では、そのぶんエンジンの排気量を小さくして燃費性能を向上させていたわけだ。

 それが今回は、エンジン排気量を大きくしたことで、ハイブリッド燃費(バッテリーの残量ゼロの状態でハイブリッド車として走った場合の燃費、JC08モード、車両認可前のため仮の値)は従来型の19.2km/Lから18.6km/Lへとわずかながら低下している。環境性能が売り物のはずのPHEV仕様で環境性能を悪化させるような変更をあえてしたのはなぜなのだろうか? 

次ページ エンジンを大きくしてEVに近づける?