Bセグとは思えない豪華さ

 今回の試乗会では、このコラムの第106回で試乗したばかりの新型ポロのGTI仕様にも乗ることができた。価格が344万8000円と、up! GTIに比べれば1.6倍近くするだけに、内容もかなり豪華になる。搭載エンジンは従来型の排気量1.8L・直列4気筒直噴ターボ(2014年8月の部分改良以降)から、排気量を2.0Lにアップし、最高出力は従来型の141kW(192PS)から147kW(200PS)に、最大トルクは250N・mから320N・mへと向上している。

 トルクアップに合わせて、変速機は従来型の7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミション)から、6速のDCTに変更された。一見、退化しているように見えるが、従来の7速DCTが乾式クラッチを使ったタイプだったのに対して、6速のDCTはより大トルクに耐える湿式クラッチを採用しており、高トルク化に対応するための変更である。従来のポロGTIにはDCTのほかに6MT仕様も用意されていたが、新型ポロGTIにも早晩追加されるだろう。

 このコラムの第106回では「ただものではないキビキビ感」と評した新型ポロの操縦安定性だが、ファミリーカーとしてはそうでも、スポーティモデルとして見れば評価は変わってくる。新型ポロGTIを峠道に連れ出すと、ステアリングに対する応答性は、敏感というよりも、むしろ落ち着いた印象を与える。

 試乗した時間帯に、芦ノ湖スカイラインには霧がたちこめてきたので常時フル加速というわけにはいかなかったのだが、こちらもup! GTI同様にターボラグを感じさせないアクセル操作に対する応答性を示しながら、up! GTIよりも一段と力強い加速を見せる。ただし乗り心地の面では、ボディ剛性がup! GTIよりも高い分、路面から衝撃がダイレクトに伝わってくる感触がある。試乗時の平均燃費は意外なことにup! GTIよりもよく、13km/L程度だった。DCTのギヤ選択のほうが筆者のMTでの選択よりも賢かったということかもしれない。

 Bセグメントのコンパクトカーとはいえ、装備は上級車並みだ。試乗車には純正のナビゲーション・インフォテインメントシステムである「ディスカバーパッケージ」(オプション価格22万6800円)と、スマートフォンの非接触充電機能・デジタルメーターをセットにした「テクノロジーパッケージ」(同7万200円)が装備されていた。このうちデジタルメーターはメーターパネルがすべて液晶で、アナログ表示や全面地図表示など3通りに表示が変えられるもの。ノーマルのポロには設定されない独自装備だ。少し前まではVWグループでも上級車種にしか装備していなかったのもので、「上級車種の装備を普及車種にも搭載可能にする」というVWグループの新世代プラットフォーム「MQB」を採用した恩恵が現れているのだろう。

デジタルメーターの表示はアナログ表示、情報表示、全面地図表示の3通りに変えられる
デジタルメーターの表示はアナログ表示、情報表示、全面地図表示の3通りに変えられる

 up! GTIも小さな車体に4人の大人が無理なく移動できるスペースは確保されているが、荷物スペースはミニマムだ。これに対してポロGTIは4人家族までなら立派なファミリー向けファーストカーとして十分な乗員/荷物スペースを備えている。普段は家族思いのファミリーカー、そしてときどきは純粋に走りを楽しみたいお父さんのパートナー、という二つの役割を立派に果たせるだろう。

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