2025年に「レベル4」の自動運転

 一方、二つ目のテーマである自動運転の領域では、以下のような発表をした。

  • 自動運転技術を通じて「すべての人に交通事故ゼロと自由な移動の喜びを提供する」ことを目指す。
  • 実現したい価値は、(1)事故に遭わない社会の実現、(2)誰もが、いつまでも、自由に移動出来るモビリティの提供、(3)移動が楽しくなる時間と空間の創出。
  • ホンダの自動運転コンセプト (1)危険に近づかず、周囲にも不安を与えない走行で、使う人への「任せられる信頼感」の提供を目指す。(2)滑らかで自然な運転特性を持つ「心地よい乗車フィーリング」を備えることで、ドライバーが心から信頼でき、思わず出かけたくなる移動の楽しさを提供する。
  • 2020年に高速道路での自動運転技術を実現し、その後一般道に拡大、より広いエリアで使えるようにしていく。
  • 高速道路での自動運転:複数車線での自動走行を可能とする、ドライバーの指示が不要な自動車線変更機能や、渋滞時にドライバーが周辺監視を行う必要がない自動運転の実用化を目指す。
  • さらに、パーソナルカーユースに向けたレべル4自動運転について、2025年頃をメドに、技術的な確立を目指す。

 どれもさらりと書いてあるのだが、これらの項目の中には重要な内容がいくつも含まれている。最も注目されるのは「すべての人に交通事故ゼロと自由な移動の喜びを提供する」という方針を明確にしたことだ。「すべての人に」ということは、高齢者や身体障害者、あるいは免許を持っていない人までも含まれる。つまり、この項目は、人間のドライバーを必要としない完全自動運転の開発を目指すことを意味している。ホンダが完全自動運転を目指すと公式に発表するのはこれが初めてだ。すでにトヨタは2016年1月に同様の表明をしており、また日産は以前から同様の方針を表明していることから、これで日本の3大完成車メーカーがそろって完全自動運転を目指す方針を明確化した。

レベル3、レベル4の実用化を表明

 二つ目は、2020年にホンダが目指す自動運転のイメージがはっきりしたことだ。高速道路で、車線変更を含む機能を備えた自動運転技術を実用化することは以前から表明していたが、今回明らかになったのは、渋滞時にドライバーが「周辺監視を行う必要がない自動運転の実用化を目指す」ことだ。

 ドライバーが周辺監視を行う必要がない自動運転は、自動運転の「レベル3」に相当する。これまでに実用化されている自動運転技術は、常にドライバーが周辺監視とシステムの監視をする必要がある「レベル2」であり、渋滞時のレベル3は、独アウディがことし発売する最高級車の新型「A8」で世界で初めて実用化すると見られている。ホンダの実用化はこれより3年遅れることになるが、レベル3の実用化時期を表明したのはホンダが国内メーカーでは初めてだ。

 さらに注目されるのが、レベル4の自動運転を2025年をめどに実用化すると表明したことだ。レベル3の自動運転は、システムが対応できないような状況に陥った場合には、人間に運転を戻すことになっている。つまり人間は、周辺監視やシステムの監視義務はないものの、システムからいつ運転が戻ってきてもいいように備えていなければならない。

 これに対して、レベル4は、システムがドライバーに運転を戻すことのない完全自動運転の段階である。ただし、レベル4では、あらゆる運転環境下で完全自動運転できるわけではなく、限られたエリア内、限られた速度領域という具合に、条件を限定している。こうした条件を取り除き、人間のドライバーとほぼ同じレベルの完全自動運転が可能なレベルが「レベル5」である。ここまで示してきた自動運転のレベルは、米自動車技術会(SAE)の規定によるものだ。

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