中国製のライダーも
もう一つ、掘り出し物と思ったのが自動運転開発ベンチャーのZMPが自社ブースに展示していた中国ロボセンスのLiDARだ。2種類のライダーが展示されていたのだが、そのうちの一つは、米ベロダイン製とそっくりの円筒形状のもので、内部でレーザー光の発信源そのものを回転させて周囲360度の物体を認識するタイプと思われる。こちらはZMPが代理店となって5月下旬から国内販売を始めている。そしてより注目されるのが、もう一つ展示していた「M1」というタイプのMEMSを使うタイプだ。MEMSは「Micro Electro Mechanical Systems」の略で、半導体製造プロセスを使って作る微小な機械システムのことだ。

MEMSは面発光レーザーと並んでライダーの小型化・低コスト化を可能にする技術として注目されている。具体的には、半導体製造プロセスで微小な鏡を形成し、この鏡の角度を変えることでレーザー光をスキャンしようというアイデアだ。日本ではパイオニアがMEMSを使ったライダーの開発に力を入れている(関連記事)ほか、イスラエルのInnoviz Technologiesというベンチャー企業も開発を進めている。つまり、MEMSを使ったライダーは、先進国でもまだ開発途上の最新技術なのである。
ロボセンスが開発を進めているM1のスペックを見ると、検知距離は最大200m、検知範囲は水平方向に63度、垂直方向に20度で、それぞれの解像度は0.09度、0.2度、走査速度は20フレーム/秒と、パイオニアやInnovizの試作品と比べてもそん色ない。実用化時期や目標コストなどは今回分からなかったが、ライダーのような最新の自動運転用技術でも中国が猛追してきていることを、今回の「人くる」では実感した。
トヨタ自動車は、2018年1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES 2018」で、モビリティ・サービス専用の自動運転EVのコンセプト車「e-Palette Concept」を発表しました。2020年に実証実験を開始することを目指しています。日産自動車も2018年3月に自動運転EVを使ったモビリティ・サービス「Easy Ride」の実証実験を横浜・みなとみらい地区で実施しました。トヨタや日産だけではありません。いま世界の完成車メーカーはこぞって「サービス化」に突き進んでいます。それはなぜなのでしょうか。
「EVと自動運転 クルマをどう変えるか」(岩波新書)は、当コラムの著者である技術ジャーナリストの鶴原吉郎氏が、自動車産業で「いま起こっている変化」だけでなく、流通産業や電機産業で「既に起こった変化」も踏まえて、自動車産業の将来を読み解きます。自動車産業の変化の本質はEVと自動運転が起こす「価値の革新」です。その全貌を、ぜひ書店でご確認ください。
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