“ライダー”を様々な企業が出展

 その自動運転技術を実用化するうえで必須のセンサーと言われているのがレーザー光を使うレーダー、いわゆる「ライダー(LiDAR)」である。現在、実験車両などで主に使われているのは米ベロダインの製品だが、高いものでは価格が800万円以上もすることや寸法が大きいことなどから、画期的な低コスト化・小型化が求められている。この拡大必至の市場を巡って大手自動車部品メーカーからベンチャー企業までが入り乱れて開発競争を繰り広げていることは、すでにこのコラムの第63回でもお伝えしてきた通りだが、今回の「人くる」でも様々な企業が出展していた。

 最も注目されるのは、京セラがライダーを開発中であることを表明したことだろう。京セラのライダーの特徴はカメラと一体化することで「センサーフュージョン」を1台で実現したことだ。このコラムの第63回でも触れたように、センサーには得手不得手があるため、自動運転では「カメラ」「ミリ波レーダー」「ライダー」の3種類のセンサーを搭載することが必須とされている。今回の京セラの試作品はこのうちのカメラとライダーを一体化したものだ。

京セラが出展した開発中のライダー。カメラと一体化しているのが特徴だ。

 現在のライダーでは認識したい範囲にレーザー光を照射するのに、多数のレーザー素子を搭載したり、本体を回転させたり、あるいはモーターで回転する鏡を使ってレーザー光の方向を変えたりといった方式が採用されており、これが小型化・低コスト化の障害になっている。このため多くのメーカーでは低コスト化や小型化を狙って、機構部分のまったくない「メカレス化」を図る企業が多い。

 これに対して今回京セラが出展したのは、ガルバノミラーと呼ばれる、モーターでミラーを動かしてレーザー光をスキャンさせる方式だ。あえて「メカ式」を採用したのは、信頼性の確立した技術を使うことで早期の実用化を狙ったためだ。認識できる範囲は横方向に20度、縦方向に5度で、解像度は縦方向が65、横方向が85だという。組み合わせるカメラの画素数は2044×2044で、本体の寸法は幅70×高さ60×奥行き100mmと、ライダーとカメラを一体化した割には比較的コンパクトだ。現在はルームミラーの裏の室内側にカメラを取り付けることが多いが、京セラの新型センサーも、これと同様に室内に取り付けることを想定している。

デンソーも出資するベンチャー企業

 今回の「人くる」では、京セラ以外にもライダー関連で「掘り出し物」に出くわした。一つは長瀬産業のブースに展示されていた米TriLuminaのライダーである。現在のライダーのほとんどは、レーザー光をスキャンすることによって、認識したい範囲の物体の検知や、物体との距離測定を行っている。これに対してTriLuminaのライダーは「フラッシュライダー」という、スキャンしない方式である。その代わり、微小なシリコン製の基板上に多数のレーザー素子を形成した「面発光レーザー」を使い、ちょうどカメラのフラッシュを物体に当てて写真を撮るように、検知したい範囲全体に一度にレーザー光を当て、物体の検知や距離の測定をするのが特徴だ。

長瀬産業が出展した米TriLumina製の面発光レーザー素子。放熱のためのフィンを取り付けている

 面発光レーザーはすでに通信などの分野では実用化されている技術だが、ライダーでは100m以上の遠くにある物体を検知する必要があるため、出力の高い面発光レーザーが必要で、これを製造するのが難しく、まだ実用化には至っていない。TriLuminaはライダー用の面発光レーザー技術を開発しているベンチャー企業で、デンソーも出資するなどこの分野では高い技術力を備える。以前から筆者も注目していたのだがまだ実物を見たことがなかった。展示したのは7mm角のプリント配線板上に面発光レーザー素子とドライバーICを取り付けたもので、150のレーザー素子をチップ上に形成している。