具体的に、対角線方向の車体剛性をどう強化しているか。従来のマツダの車体構造では、例えばセンターピラーとルーフの補強材、およびフロアの補強材を結合した「環状構造」を構成することを重視していた。今回は、この横方向の環状構造に加え、クルマの縦方向でも環状構造を構成することを重視したのが特徴だ。例えば従来は、サイドシルとリアピラーの補強材がホイールアーチを介して結合されていなかったり、あるいはフロントピラーの根本とサイドシルを結ぶ部材が、ストラットタワーとの間で環状構造になっていなかったり、という具合だ。次世代車体ではこうした部分の強化を図った。

モーターでタイヤを微妙に動かす

 足回り部品では、NTNが出展した「sHUB」が面白かった。これは、サスペンションとタイヤをつなぐ「ハブベアリング」と呼ばれる部品にタイヤの角度を微妙に調整するモーター機構を組み合わせたものだ。従来のステアリング機構は、当たり前のことだが、どの程度ステアリングを切ったら、タイヤの角度がどの程度変わるかは固定されており、走行しながら直進やコーナリングなどの走行条件ごとに最適な設定に変更することはできなかった(一部に、変更が可能な機構も存在する)。

NTNが出展した「sHUB」。モーターでタイヤの角度を微妙に調整する。走行条件を最適化したり、ドライバーのステアリング操作に対する応答性を高めたりといった機能を実現できる。

 今回のsHUBは、既存のステアリング機構を大きく変更することなく、左右のタイヤの角度を個別に補正することができるのが特徴だ。運転時のハンドルの操作角度と車速のデータをもとにタイヤの転舵角度を最適に補正することで、車両のコーナリング性能や高速直進時の安定性を向上させるほか、スリップなど非常時の車両姿勢を安定化させる機能も備える。そのための制御技術を神奈川工科大学と共同で研究し、「sHUB」に適した制御方法を開発した。この制御方法を適用すると、車両の安定性が向上するため、運転時のステアリング操作量を最大4割減らせるという。そのぶん運転の負担は軽くなる。

 意外だったのは、この機構によってステアリング操作に対するタイヤの動きの応答性も高まるということだ。通常のステアリング機構では、ステアリングを回転させると、その動きが機構的にタイヤに伝えられてタイヤが動く。しかし、軸のねじれなどがあるため、その応答には一定の遅れがある。これに対して、sHUBではステアリングの動きをセンサーで検知し、電気的にモーターに伝え、モーターでタイヤを動かす。これにより、例えばレーンチェンジのときの車両の応答時間は、従来が0.2秒だったのに対してsHUBを搭載すると0.1秒と、応答時間が半分に短縮されたという。

 自分が操作した結果が、より早く車両の動きに反映されれば、それに対する修正も速くできるので、運転しやすくなり、安心感も増す。まだ車両に搭載して実験を始めたところで、システムの耐久性や、ばね下重量が重くなることによる乗り心地の悪化など、実用面での検証はこれからだが、自動運転技術の実用化が広がる中で、自家用車には運転の楽しさを向上させることが求められており、sHUBはそのための技術として期待が持てる。