つまり、この提携の最大の目的は、自動運転時代にクルマが所有するものから、オンデマンドで利用する時代になるのに備えて、ライドシェアサービスに関する経験を蓄積することにあるようだ。2番めの、クルマを持たないドライバーをリフトのドライバーにするための仕組みは、リフトのドライバーを増やし、最大手であるウーバーを追い落とすための戦略の一環だろう。

VWも自動運転時代をにらむ

 奇しくもトヨタがウーバーとの提携を発表したのと同じ5月24日、独フォルクスワーゲン(VW)も、イスラエルのライドシェアサービス会社であるゲットに3億ドルを出資すると発表した。VWの狙いもライドシェアサービスで経験を積むことであり、その先にある自動運転の領域でも協力していくことを明確にしている。また、GMと同様に、ゲットのドライバーを増やす目的で、ゲットのドライバーに対して、クルマの魅力的な購入プランや、リースのプランを提供する。

 このように、GMやVWの提携は、ライドシェアサービス会社に対して巨額の出資をして、将来のライドシェアサービスへの本格的な進出に備えようとするものだといえるだろう。傘下のライドシェアサービス会社を支援して、ウーバーに対抗できる勢力に成長させ、あるタイミングでは丸ごと傘下に収めるところまで、視野に入っているに違いない。

グーグルでなくウーバーと組む意味

 グーグルもウーバーも、IT技術を活用した新しいビジネスモデルを開拓した企業という点では共通するが、多くの完成車メーカーがグーグルとの提携には二の足を踏むのに対し、ウーバーのようなライドシェアサービス会社とはこぞって手を組むその理由は何なのか。それは、グーグルとウーバーのビジネスモデルの違いにあると筆者は考えている。

 グーグルが自動運転車の開発に力を入れる狙いは、自動運転車を販売することではなく、自動運転車を利用するユーザーに、グーグルのサービスを利用してもらうことだろう。完全自動運転のクルマが実用化すれば、クルマは単体の商品から、無人タクシーを運用する巨大なネットワークの構成要素の一つに過ぎなくなる。そして最も大きな収益源は、車載情報端末向けの広告収入になるかもしれない。

 広告主にとって無人タクシーは「ユーザーを連れてきてくれる情報端末」となり、商業施設などは、来店する顧客向けには無人タクシー料金を無料にするサービスを実施するだろう。これこそがまさに、グーグルが狙っているビジネスモデルだ。こういうビジネスモデルでは、完成車メーカーは無人タクシー運用会社に車両を納める「下請け」に甘んじることになりかねない。