しかも、自家用車と違って、高級なレストランに出かけるときにはフォーマルなセダンを、夫婦やカップルが2人でドライブに出かけるときには優雅な2ドアのクーペを、単に郊外のショッピングモールに出かけるときには気取らずに軽乗用車を、という具合に、使用するシーンに応じて、利用する車種を選ぶことができ、クルマ利用の幅も大きく広がる。

 利用コストも自家用車に比べて大きく下がると予想される。現在のタクシーは料金収入の約3/4を人件費が占めており、この部分だけを考えても、無人タクシーの利用料金は有人タクシーの1/4にできる可能性がある。さらに無人タクシーをEV(電気自動車)にすれば、ガソリンエンジン車に比べて燃料費(電力料金)を1/4以下にできるので、もっと料金を低く設定できる。多くの場合、無人タクシーの利用料金は、クルマの購入費用や保険代、税金、駐車料金、車検代などを考慮した自家用車の利用コストよりも安くなると考えられる。

既に「無人タクシー」に近い利便性

 既に無人タクシーの実現を待たずして、ウーバーが提供するライドシェアサービスは、無人タクシーに近い利便性を提供している。スマートフォンで近くにいる好みの車種や評判のいいドライバーを選んで呼び出し、タクシーよりも低い料金で利用できるからだ。無人タクシーが実現すれば、利用料金はもっと下がるだろうが、このライドシェアサービスを運用するアプリケーションやネットワークの技術や経験は、そのかなりの部分が、無人タクシーの時代にも生きるだろう。

リフトとの提携を発表するGMのDan Ammann社長(中央)、リフトの共同創業者のJohn Zimmer氏(右)、Logan Green氏(左)(写真提供:GM)

 すでに、トヨタに先立って2016年1月にライドシェアサービス会社のリフトに5億ドルを出資すると表明した米ゼネラル・モーターズ(GM)は、自動運転時代を見通した戦略をはっきりと打ち出している。両社の提携の内容とは以下のようなものだ。

  1. 自動運転車のオン・デマンド・ネットワークの共同開発:GMの自動運転技術と、ユーザーに広範な選択肢を提供するリフトのライドシェアサービスの経験を生かした、自動運転車のオンデマンド・ネットワークの共同開発に取り組む。
  2. レンタカー拠点の提供:最初の取り組みとして、クルマを持たないドライバーが短期でリフトのドライバーとして働く場合に、GMは、全米に同社が構えるレンタカー拠点を通して、レンタカーを提供する。
  3. 「つながるクルマ」サービスの提供:リフトのドライバーおよび利用者は、GMが提供するテレマティクスサービス「オンスター」を利用できる。これにより、リフトのドライバーおよび利用者に、より豊かな「車内体験」を提供する。
  4. サービスの相互利用:GMのとリフトは、それぞれのユーザーをお互いのサービスに誘導する。