もう一つ、SPAとCMAで共通しているのがパワートレーンの電動化を最初から考慮していることだ。ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、さらには電気自動車(EV)ではバッテリーの置き場所が問題になるのだが、SPAやCMAではセンタートンネルの部分や後部座席の下にバッテリーを置くことを最初から想定して設計しており、同じプラットフォームからHEVやPHEV、さらにはEV仕様を派生させることが可能になっている。

新世代プラットフォーム「CMA」はエンジン車(上)だけでなく、プラグインハイブリッド車(中央)や電気自動車(下)など多様なパワートレーンに対応できる(写真:ボルボ・カーズ)

 一方でSPAとCMAが大きく異なるのはサスペンション形式だ。SPAはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンク式を採用していた。特にリアサスペンションは、通常のコイルばねではなく、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)製の板バネを使うことでフロアにばねの出っ張りをなくし、広い荷室を実現していたのが大きな特徴だった。これに対してCMAではフロントがシンプルなストラット式、リアもコイルばねを使った一般的なマルチリンク式を採用している。

新たなスカンジナビアンデザインを追求

 SPAを採用する上級車種のXC90やXC60と、CMAを使うXC40では外観デザインの方向性も大きく異なる。伸びやかなプロポーションが特徴だったXC90やXC60(そしてV90やS90)に対して、XC40は最近では珍しい前傾したグリルやヘッドランプ、後端がリアピラーに向かって大きくはね上がったリアウインドー下端のラインなど、より活発で躍動的な印象を与えるデザインだ。ボルボによれば、XC40のデザインイメージは犬のブルドッグだそうで、そう言われてみれば、グリルの輪郭の形状が、犬が口を開けたところに見えなくもない。

 XC40の内装の基本的なデザインは上級車種と共通で、センターパネルに縦長の大型液晶ディスプレイが据えられ、その両脇に空調の吹出口を配置していること、さらにボリューム感のあるインストルメントパネル形状なども上級車種と同じだ。しかしその細部に、上級車種よりも遊び心を感じさせるデザイン要素がちりばめられているのがXC40の特徴である。

 その最たるものが、助手席前面にあしらわれたアルミのドット調の化粧パネルで、あまりクルマの内装では見られないものだ。また、ドアの内張りも、基本色は黒なのだが、物入れの内側にはオレンジ色の布地が張られ、大胆なコントラストをなしている。もっとも、今回試乗したのは「XC40 T5 R-Design 1st Edition」と呼ばれる300台限定のモデルで、一般的な車種はもう少しおとなしいデザインになるだろう。

大型のセンターパネルの両脇に空調の吹き出し口を配置したのは級車種と共通するが、助手席の前などにあしらわれたアルミのドット調の化粧パネル(左)や、オレンジ色のドア内張り(右)など、より遊び心を感じさせるデザインだ

 V90を取り上げたこのコラムの第80回で、薄い板を曲げたようなセンターパネルのデザインなど、従来世代のボルボ車を特徴づけるデザイン要素がなくなったことを残念だと書いたが、ボルボ車は新世代のボルボ車で、新しい時代のスカンジナビアンデザインを追求しているようだ。