このうち最高級ワゴン車のV90についてはこのコラムの第80回でも取り上げており、その高いボディ剛性に驚かされた記憶がある。中型SUV(多目的スポーツ車)のXC60は、2017~2018日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に輝いた。日本のCOTYを海外メーカー車が獲得するのは2013~2014で独フォルクスワーゲンの「ゴルフ」が勝ち取って以来2度めで、ボルボ車では初めてだ。そして今回のこのコラムで紹介する最新SUVの「XC40」も、2018年の欧州COTYに輝いている。欧州COTYをボルボ車が受賞するのは初めての快挙だ。新世代のボルボ車が世界で高い評価を受けていることが分かる。

新世代プラットフォーム「CMA」を採用

 今回XC40を取り上げたのは、このクルマが同社の新世代プラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)」を採用する最初のモデルだからだ。これまでに登場したXC90やV90、S90、そしてXC60といった新世代ボルボはいずれも上級車向け最新プラットフォーム「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」を採用していた。このSPAを採用するV90は、先ほども触れた通りこのコラムの第80回でも紹介しており、非常に高い剛性の車体がもたらす硬めだがすっきりした乗り心地と、スーパーチャージャーとターボチャージャーを両方組み合わせた排気量2.0L・4気筒エンジンがもたらす軽快な走りが印象的なモデルだった。

 この上級車種向けのSPAに対して、今回XC40に採用された小型車向けのCMAは、当然のことではあるが、共通しているところと異なるところがある。まず共通する点からいうと、車体骨格の多くの部分にホットプレス鋼板を使用して、衝突安全性の確保と軽量化の両立を図っていることがある。鋼板は強度を高めていくと加工性が低下するという問題がある。これに対してホットプレス鋼板は、通常の強度の加工性の高い鋼板を加熱し、これを水冷した金型で成形することで“焼入れ”をして強度を上げたものだ。

XC40の車体を構成する鋼板の種類。赤い部分がホットプレス鋼板(写真:ボルボ・カーズ)

 鋼板を加熱してから成形するので金型で加工しやすく、しかも強度は、通常の高強度の鋼板(いわゆる高張力鋼板)の場合には最高でも980MPa程度なのに対して、ホットプレス鋼板では1.5倍の1500MPaにまで高めることが可能だ。ただし、鋼板を加熱する設備や、金型を水冷する設備などが必要で設備コストがかかることや、鋼板を加熱する時間がかかるため生産性が低下するという難点がある。欧州ではこうした難点にある程度目をつぶって、軽量化のためにホットプレス鋼板の採用が拡大している。これに対して日本ではコスト上昇を嫌い、ホットプレス鋼板の採用は欧州ほどは広がっていない。XC40に採用されたCMAでは、比率は明らかになっていないものの、主要な骨格の多くにSPAと同様ホットプレス鋼板を多く採用している。