これは、エンジンが先代の1.2L直列4気筒ターボから、1.0L直列3気筒ターボへと変更されていることを考えると、より不可解なのだが、一方で新型ポロは先代に比べると、全長で65mm長い4060mmへ、全幅でも65mm広い1750mmへ、ホイールベースで80mm長い2550mmへと拡大されていること、さらに安全装備が充実していることを考えれば、妥当な変化なのかもしれない。
大きくなった新型ポロは、全長ではついに4000mmの大台を超え、さらに全幅でも1700mmの大台を超えて3ナンバーサイズになった。この車体サイズは、4代目ゴルフ(全長4155mm、全幅1735mm、ホイールベース2515mm)より全長は短いものの、全幅、ホイールベースはいずれも上回る。その4代目ゴルフ自体、3代目に比べて大幅に車体サイズを拡大し、室内の質感も高めて登場した当時は「一クラス上のクルマになったな」という印象を与えるモデルだった。一クラス下のポロが、それに近いサイズまで大きくなったということには、ちょっとした感慨を覚える。
“目ヂカラ”のあるデザイン
新型ポロの全体的なデザインは、最近のVWデザインのトレンドに則った直線的なもので、遊びの要素は少ないのだが、その中でポロならではの特徴を与えているのが、ヘッドランプのデザインだ。今回試乗した最上級グレードの「TSI ハイライン」に装備されているLEDヘッドランプは、下端にうねるような輪郭が与えられていて、先代のシンプルな形状に比べて強い印象を与える。

最近の欧州車は、眉毛の釣り上がったような強い主張を持たせたヘッドランプが増えている。ポロのヘッドランプはそうしたデザインに比べれば控えめではあるが、従来までのVW車に比べると“目ヂカラ”が強められていると感じる。世界最大の市場となった中国では、ヘッドランプに強い主張を持たせたデザインのモデルが多く、新型ポロもそうした嗜好を取り入れているのかもしれない。ただし、最上級グレード以外の「TSI コンフォートライン」と「TSI トレンドライン」は、よりシンプルなデザインのハロゲンヘッドランプが与えられている。
もう1つ目立ったのは内装デザインだ。室内に入ってまず目に入ってくるのは、ポロよりさらに小さい車種「up!」と共通する、大面積の光沢のある樹脂パネルである。じつはこの樹脂パネル、ドイツ本国では車体と同色で塗られた仕様が用意されており、この仕様だと非常に室内が明るくなるのだが、残念ながらいまのところ国内では、どの車体色にも違和感のないグレーのパネルしか用意されていない。
樹脂パネル以外では、メーターパネルとカー・ナビゲーション・システムの画面を同じ高さに並べた、新世代のVW車に共通するデザインを採用しているのが目をひく。従来のVW車では、空調の吹き出し口をセンターパネルの一番上に配置し、その下にカーナビの画面を置いていた。このほうが、室内の温度調節という面から言えば望ましいが、それよりもカーナビの画面の見やすさを優先した格好だ。
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