骨格を斜めに配置することで、従来の車体骨格のように屈曲した形状で接続するのに比べて効率よく荷重を分散することができ、車体強度の向上と軽量化の両立に有利だというのがマツダの説明だ。じつは富士重工業の次世代プラットフォームの骨格構造も、SKYACTIVに非常に似た、斜め配置のフレームを採用している。

富士重工業の次世代プラットフォームの骨格構造。フロントからの荷重を車体後方に伝える骨格を斜めに配置しているのがSKYACTIVと共通する
富士重工業の次世代プラットフォームの骨格構造。フロントからの荷重を車体後方に伝える骨格を斜めに配置しているのがSKYACTIVと共通する

 このことを富士重工業のエンジニアに問うと、決して真似をしたわけではなく、偶然の一致なのだという。同じような目的を追求していくと、似たような結果に行きつくということなのだろう。ちなみに、スズキが現在新型車に採用しつつある新世代プラットフォームも、同様に斜めに配置した車体骨格を採用しているから、自動車業界ではちょっとした流行になりつつあるといえるかもしれない。むしろ、トヨタ自動車の新世代プラットフォームである「TNGA(Toyota New Global Architecture)」のように、こうした斜め配置の車体骨格を採用していないほうが少数派になっている印象だ。

エンジン・変速機は改良版

 このように車体骨格の考え方ではSKYACTIVと共通性が見られる富士重工業の次世代プラットフォームだが、もちろんSKYACTIVと異なる点もある。SKYACTIVでは、車体の刷新に合わせてエンジンや変速機も基本構造から一新したのに対して、富士重工の次世代プラットフォームでは、従来のエンジン・変速機を搭載することを前提に設計していることだ。

 SKYACTIVでは、エンジンルーム内の骨格を太くするために変速機の長さを短くするなど、エンジン、車体といった部門の壁を超えて「全体最適」を追求していたが、エンジンの基本構造を刷新するには加工設備を変更するための大規模な設備投資が必要になる。このため、富士重工業は今回、プラットフォーム刷新に合わせてエンジン・変速機まで刷新するのは見送ったようだ。

 ただし今回の次世代プラットフォームの発表会で、富士重工業の吉永泰之社長は、これまで400~500億円規模だった研究開発投資を、2015年度には1000億円規模に倍増したことを明らかにし、2020年まで同程度の規模の投資を続けることを表明した。2020年までに、各国で燃費規制が強化されることを考えると、どこかのタイミングでエンジン・変速機を一新するときが来るはずだ。

 富士重工業の名誉のために付け加えれば、エンジン・変速機の基本構造は変えないものの、そのまま次世代プラットフォームに載せるわけではない。新型インプレッサでは、「FB20」というエンジンの形式名こそ変わらないものの、部品の80%は新設計する。改良エンジンと変速機は、新型プラットフォームと相まって、スバル車の走りを一段と引き上げることに貢献するはずだ。新世代プラットフォームの発表会において、富士重工は、新型プラットフォームによって「動的質感」において欧州の競合車をしのぐ水準を実現したと強調していた。その走りを、早く実車で確かめてみたい。

この記事はシリーズ「クルマのうんテク」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。