従来のマウントでは、どうしてもマウントを硬くしないと、エンジンの回転方向の振動を抑え込めなかったのだが、そうすると、エンジンの振動がサブフレームを介して車体に伝わりやすくなる。スポーティさが売り物の車種ならそれでも問題ないが、5代目レガシィは車体を大型化し、車格が上昇したため、それにふさわしい乗り味を実現する必要に迫られた。このため振動や騒音の低減にもこだわり、エンジンの搭載方法の刷新に取り組んだわけだ。

5代目レガシィのエンジンマウント構造。「ロ」の字型フレームにエンジンをマウントする
5代目レガシィのエンジンマウント構造。「ロ」の字型フレームにエンジンをマウントする
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 このエンジンを搭載するフロントサブフレームの構造も一新した。従来は、左右のサスペンションアームの付け根を直線状に結んだ「I型サブフレーム」というシンプルな形式だったのだが、これを5代目レガシィでは、上から見ると「口」という字のような形のフレーム〔同社はクレードル(鳥かご)状フレームと呼んでいる〕に変更したのだ。この形状のフレームは、車両が前方衝突した場合に、メインフレームと一緒に衝撃を吸収するのに加えて、下側に屈曲することでエンジンが車体の下に移動するので、車体がつぶれて衝撃を吸収しやすくなるため、衝突安全性が向上するという特徴がある。

 一方で、インプレッサやフォレスターなどの車種は従来通りサブフレームの上にエンジンを載せる従来のエンジンマウントを使い続けたため、エンジンルーム周りの構造の違いによって、富士重工業には2種類のプラットフォームが混在することになったわけだ。次世代プラットフォームは、この2種類を統合、同社のすべての車種でプラットフォームを統一し、開発・生産効率を向上させることを狙う。

SKYACTIVに似た車体骨格

 こうした経緯があったので、次世代プラットフォームではエンジンマウントの方式がどうなるのか気になっていた。結果からいうと、新世代プラットフォームでは、従来からのインプレッサ方式に統一された。5代目レガシィ以来の方式をやめた最大の理由は軽量化である。エンジンの横から腕を出して支持する方式は、その“腕”に剛性が必要なため重量がかさむという難点がある。

 サブフレームの形式も、従来の「ロ」の字型から、インプレッサと同様のシンプルなI字型になった。ロの字型フレームのほうが、これまでは衝撃の吸収に有利という説明だったが、最近ではシミュレーション技術が進化して、シンプルな構造でも十分な衝撃吸収能力を確保できるようになり、しかも軽量化に有利だという。

次世代プラットフォームのフロントサブフレーム。横一直線のシンプルな形状だ
次世代プラットフォームのフロントサブフレーム。横一直線のシンプルな形状だ

 一方、全体の車体骨格で興味深いのが、マツダの「SKYACTIV」との共通性だ。マツダの新世代の車体技術であるSKYACTIVボディにはいくつかの特徴があるのだが、その中の1つが、フロントのフレームからの荷重をフロア下の斜めに配置したフレームで受けていることだ(下図でストレート連続、と書いているところ)。

マツダのSKYACTIVボディ(右)と従来骨格(左)との比較。フレームを滑らかに連続させるようにして、効率的に荷重を伝えるようにしている
マツダのSKYACTIVボディ(右)と従来骨格(左)との比較。フレームを滑らかに連続させるようにして、効率的に荷重を伝えるようにしている
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