ただし、この挫折が結果として良かったのではないかと評価する向きもある。というのも、2012年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化したことによって、その後長く日中関係は悪化し、中国市場での日本車の売れ行きにも悪影響が出たからだ。運さえも味方に付けているかに見える富士重工業が、次の成長戦略の要として発表したのが、今後の同社製品の競争力を左右する「次世代プラットフォーム」である。

富士重工業が発表した「次世代プラットフォーム」
富士重工業が発表した「次世代プラットフォーム」

すべての車種を同じプラットフォームで

 富士重工業の効率経営を支える柱の1つが米国市場への経営資源の集中であることはすでに述べた通りだが、もう1つの柱が、プラットフォームの絞り込みである。軽自動車から撤退して以降、同社の製品は基本的に1つのプラットフォームから作り出されている。というのも、現行の6代目「レガシィ」や、4代目「インプレッサ」は、4代目レガシィのプラットフォームを改良しながら用いてきているからだ。

 ただし、基本構造は共通なのだが、レガシィ系の車種(アウトバックなど)とインプレッサ系の車種(レヴォーグ、フォレスターなど)では異なる点もある。それがエンジンを搭載する形式の違いだ。米国市場を重視する戦略に基づき、同社の代表的な車種である「レガシィ」の車体は、先代の5代目から顕著に大型化し、現行の6代目の全幅は実に1820mmと、国内ではやや持て余すほどのサイズとなった。

 同社のクルマの最大の特徴である水平対向エンジンは、シリンダーを水平に寝かせて向かい合わせに配置した構造なのだが、4代目レガシィまではこの水平対向エンジンを、エンジンマウントを介してフロントサブフレームの上に載せる構造を採っていた。

5代目レガシィのエンジンマウント方式(下)と従来方式(上)の違い。5代目レガシィではエンジンの横から“腕”を伸ばして、エンジンマウントの間隔を広げた方式を採用していた
5代目レガシィのエンジンマウント方式(下)と従来方式(上)の違い。5代目レガシィではエンジンの横から“腕”を伸ばして、エンジンマウントの間隔を広げた方式を採用していた
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 この構造を、5代目レガシィからはエンジンから横に腕を伸ばし、この腕の先にエンジンマウントを付けて、サブフレームに載せるように変更した。この構造を採用した理由は、エンジンを支持するマウントの間隔を広げることで、それほどマウントを硬くしなくても、エンジンの回転方向の振動を効果的に抑え込めるようにすることだ。

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