スウェーデンボルボの新しい最高級ワゴン「V90」。FF車であるにもかかわらず、フロントドアの前端と前輪の間の距離が長いのが特徴

 マツダ、スウェーデンボルボ、英ジャガー・ランドローバー(JLR)の共通点と言われて、すぐに思いつく読者はどのくらいいるだろうか。まずこの3社は、小規模ながら業績の好調な完成車メーカーということで共通する。マツダの2015年度のグローバル生産台数は対前年比9.8%増の約153万4000台、ボルボの2016年のグローバル生産台数は同6.2%増の約53万4000台、そしてJLRの2016年のグローバル販売台数は13%増の約57万6000台で、いずれも過去最高を記録した。

 そして、これら3社のもう1つの共通点は、いずれもかつて、フォードグループに属していたということだ。特にマツダとボルボは一部車種のプラットフォームやエンジンを共通化するなど、非常に近い間柄にあった。しかし、リーマン・ショックをきっかけに、フォードはこれらの企業の株を次々に売却、JLRとは2008年に、ボルボとは2010年に、そしてマツダとは2015年に、完全に資本関係を解消した。JLRはインドのタタグループに、ボルボは中国吉利汽車にと、いずれも新興国の完成車メーカーに売却されたことで、当時は話題となった。

小規模なほうが好業績?

 フォードが、マツダやボルボ、JLRなどを次々と傘下に収めていった時代には「400万台クラブ」という言葉が囁かれ、企業の規模が競争力を決めるという意見が支配的だった。多くの車種で部品を共通化することで、部品の購買力が上がって部品メーカーとの価格交渉力が強くなるし、車両の開発コストも下げられるというのが根拠だった。こうした議論は現在でも生きており、当時よりもさらに数の多い「1000万台クラブ」という言葉さえ生まれている。しかしこうした議論を尻目に、マツダにしろ、ボルボにしろ、あるいはJLRにしろ、フォードという巨大自動車グループの傘下にあったときよりも業績を向上させているのは、ある意味皮肉だ。

 もちろん、ただ企業規模が小さければいいというわけではない。好業績の陰には、それぞれの企業が自社の強みがどこにあるのかを考え抜き、規模の小ささが強みになるような戦略を追求し続けてきた努力がある。マツダでいえば、パワートレーン電動化の風潮にあえて逆らい、エンジンの効率向上を徹底的に追求した「SKYACTIV」の開発であり、JLRでいえば、アルミ車体の全面展開による軽量化とプレミアム性の追求がそれにあたる。

 そしてボルボでもまた、プラットフォームとエンジンを全面的に刷新するプロジェクトが進行中である。現在のボルボ車は、まだフォード傘下の時代のプラットフォームを改良して使っているものも多い。これを中大型車向けと小型車向けの2つに集約した新世代プラットフォームに置き換え、エンジンは高級車メーカーとしては大胆にも4気筒だけに絞る方針だ。しかも、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンで可能な限り部品を共通化する。