いかにトヨタといえども、これだけの大改革をすべてのセグメントで同時に進めることはできない。次期ヴィッツにはBセグメント向けのTNGAが導入される見込みだが、その時期は2019年ごろにずれこむと見られている。つまり、あと2年は現行型ヴィッツを延命させる必要があるのだ。フルモデルチェンジから6年経ってハイブリッド仕様を導入したのは、延命のためのテコ入れ策という意味合いも大きい。

アクアより低燃費

 ヴィッツハイブリッドの中身は“ほぼアクア”である。ハイブリッドシステムの構成は、3代目「プリウス」向けを改良したもので、排気量1.5Lのエンジンに、出力45kWのモーターを組み合わせたものだ。この出力は、22kWのフィットハイブリッドと、70kWあるノートe-POWERのちょうど中間に位置する。

 一方、これに組み合わせる電池は、ヴィッツハイブリッドが容量0.94 kWhのニッケル水素電池で、フィットハイブリッドの0.86Whよりは多いが、ノートe-POWERの電池容量が約1.5kWなのに比べると少ない。しかも、フィットやノートは、同じ容量ならニッケル水素電池よりも軽量化できるLiイオン電池で、この部分はヴィッツハイブリッドの設計の古さを感じる部分だ。

 ヴィッツハイブリッドのプラットフォームは、もちろんベース車のヴィッツと同一なのだが、唯一異なるのが、後席下のフロア形状だ。電池を搭載する場所を確保するために、必要になった変更で、この部分のフロア形状はヴィッツのプラットフォームをベースに作られたアクアと同一だ。3代目プリウスまでは、荷室の下に電池を搭載していたため、どうしても荷室の床が高くなり、容量面で不利だった。

 これを避けるためアクアでは後席の床下に電池を搭載するようにした。しかし、通常のヴィッツでは、後席の下には燃料タンクを搭載している。そこで、アクアは、燃料タンクの容量を42Lから36Lに小さくし、搭載位置も通常のヴィッツよりも後ろにずらしている。そうして生まれたスペースに、電池を搭載しているのである。これと同じやり方を、ヴィッツハイブリッドでも採用したわけだ。ちなみにプリウスでも、現行の4代目から、ヴィッツハイブリッドやアクアと同様に、後席の下に電池を配置するようになった。

後部座席の下に、燃料タンクだけでなく、電池も搭載した。①はモーター、②はパワーコントロールユニット、③はハイブリッドトランスアクスル、④が電池である(写真提供:トヨタ自動車)

 もっとも、2011年に発売されたアクアのハイブリッドシステムを、まったくそのまま移植したわけではない。エンジンの改良によって燃焼効率を改善したほか、エンジン内の摩擦も減らしている。さらに、電池に電流を出し入れするときの制御も改良することで、アクアよりもシステム全体の効率を改善しているという。ヴィッツハイブリッドのJC08モード燃費は34.4km/Lで、その数字だけ見ると、37km/Lのアクアよりも劣っているように感じてしまう。

 ただし、ヴィッツハイブリッドは車両重量が1110kgで、アクアの標準的なグレードが1080kgなのに比べて重い。アクアの上級グレードである「X-URBAN」は車両重量が10kg重い1090kgになるため、JC08モード燃費は33.8km/Lに低下し、ヴィッツハイブリッドをむしろ下回る。同等の車両重量であれば、ヴィッツハイブリッドのほうが燃費性能は優れているわけだ。