より力が入っているのはリアのデザインである。部分改良でテールランプのデザインが全面的に変更されるのは珍しくないが、驚くのは、これまでテールゲートの両脇だけに配置した縦長のデザインだったのが、テールゲート上にも配置された横長のデザインに変更されていることだ。これを実現するには、テールゲートそのもののプレス金型を変更する必要があり、かなりコストがかかったはずだ。部分改良でテールゲートのプレス部品にまで手を入れるというのは珍しい。

従来はテールゲートの外側だけに配置していたテールランプを、テールゲート側にもランプを組み込んだ横長のデザインに変更した

 内装は、インストルメントパネルの基本的な形状は従来と同じだが、トリム類の変更や、新たに採用された赤茶色の内装色などで、より質感の向上を図っている。改良の手が入ったのは目に見える部分だけではない。これも異例のことだが、車体はスポット溶接個所を増やしたほか、インストルメントパネル周辺の補強材の厚みを増し、車体剛性を向上させている。さらにダンパーの構造も変更し、走行安定性と乗り心地を両立したとしている。

なぜ今になってハイブリッド?

 そして、今回の部分改良の最大の目玉が、ハイブリッド仕様をラインアップに加えたことだろう。実は、ヴィッツの欧州モデルである「ヤリス」には従来からハイブリッド仕様が存在していたのだが、国内では初めてだ。

 国内ではこれまで、ヴィッツと同じBセグメントに、ハイブリッド専用車の「アクア」があった。なぜモデル末期に、わざわざ同じセグメントにハイブリッド仕様を追加する必要があったのか。1つには、Bセグメントにおける市場の変化がある。2010年12月に現行型の「ヴィッツ」が発売されたとき、Bセグメントのハイブリッド車はホンダの「フィットハイブリッド」しかなかった。

 しかし現在では、日産自動車から「ノート e-POWER」が発売され、スズキも新型「スイフト」にマイルドハイブリッドシステムを搭載している。ハイブリッドシステムを搭載していないのはマツダの「デミオ」くらいで、いまやハイブリッド仕様を用意することが、このクラスの新しい常識になりつつあるのだ。「ヴイッツにもハイブリッドを」という販売店の要望にこたえる必要があった。

 2つ目の理由は、モデルチェンジサイクルの問題だ。現行の3代目ヴィッツは、フルモデルチェンジからすでに6年以上が過ぎており、過去のヴィッツが5~6年程度でモデルチェンジを迎えていたことを考えれば、そろそろ4代目にバトンタッチしてもいいころだ。

 しかしトヨタは現在、プラットフォーム、エンジンなど、クルマづくりを一新するTNGAの導入を進めており、第一弾となるCセグメント向けの新世代プラットフォームの採用が2015年12月発売の新型「プリウス」から、Dセグメント向けが北米「カムリ」から、高級車向けの新世代プラットフォームの採用が新型クーペの「レクサス LC」から始まったところだ。