滑らかな乗り心地

 ただ、ミラーサイクルエンジンは低速トルクが低くなる傾向がある。その点が多少心配だったのだが、結論からいうと、それは杞憂だった。走りだしてみるとアクセルに対してエンジンは敏感に反応し、必要にして十分なトルクが発生する。さらに印象的だったのが、走行中の騒音が非常に低いことだ。エンジン騒音も低いのだが、特筆すべきはロードノイズの低さだ。筆者の経験では、A4よりも上級の車種も含めてこれだけロードノイズを抑えこんだクルマはちょっと記憶にない。

 乗り心地は、従来のA4は非常にソフトなセッティングだったのが、新型A4はやや引き締まった印象を与える。ただ、道路の凹凸はきちんと伝えてくるのだが、振動が伝わってきたときの車体の挙動が軽やかで、しかもすぐに減衰するので不快な感じがない。そもそも足回りの動きが滑らかで、摩擦が少ない感じがする。別の言い方をすれば、いかにも精度の高い部品を組み上げたという印象だ。このあたりはさすがドイツのプレミアムメーカーの最新型車と感じさせる部分だ。

 このように、クルマのハードウエアとしての完成度は非常に高まったのだが、やや残念さが残ったのがドライバー支援機能の完成度だ。新型A4には、アクセルやブレーキを操作しなくても高速道路で先行車両に自動的に追従走行できる「アダプティブ・クルーズ・コントロール」や緊急自動ブレーキに加えて、車線維持支援システム「アウディアクティブレーンアシスト」が全モデルに標準装備されている。このアクティブレーンアシストは、車両が車線を逸脱しそうになると、車線を維持するようにステアリング操作をアシストする機能だ。

車線を逸脱しそうになると、車線を維持するようステアリング操作をアシストする「アウディアクティブレーンアシスト」

 ところが、この機能がどうも使いにくい。この機能は時速60km以上で動作するので、主に高速道路で試してみたのだが、システムが働くときと働かないときがあり、それがどういう理由なのかが分かりにくいのだ。この連載の第41回で取り上げたドイツBMWの7シリーズのように、軽く手を添えていればほぼ自動的に車線に沿って走行してくれるものだと思っていたが、そう思ってクルマにステアリング操作を任せていると、しばしばシステムが動作しない場面に遭遇する。

 この機能はあくまでもドライバーを支援するのが目的で、ステアリング操作は人間の仕事だというのが前提だから、筆者のような使い方は邪道なのかもしれないが、システムが安定して働いてくれなければ、実際に操作ミスや不注意で車線から逸脱しそうな状況でも、システムが働かない可能性がある。この点は、より安定してシステムが動作するような改善を望みたいと思った。