アウディジャパンが2月に発売した新型「A4」

 この連載の47回目で、日本には走るのが好きなお父さん向けのミニバンがどんどんなくなっているという話をしたのだが、それを言うなら、何もミニバンだけでなく、セダンという車種も、この日本では絶滅危惧種になりつつあると感じる。特に、欧州や中国ではマーケットの中心をなすCセグメントや、その上級のCDセグメントのセダンの選択肢が、日本では少ない。

 Cセグメント、CDセグメントというと、海外で代表的な車種を挙げれば、独フォルクスワーゲン(VW)の「ジェッタ」(ゴルフのセダン版)、その上級車種の「パサート」などがあるし、国内で代表的な車種を挙げるとすれば、現在だとマツダ「アクセラ」のセダンや、その上級車種の「アテンザ」のセダンということになろうか。

 特にCDセグメントは、独ダイムラーの「メルセデス・ベンツ Cクラス」、独BMWの「3シリーズ」など、その企業を代表するような車種がそろっており、厳しい競争を繰り広げている。しかし、このクラスで日本企業の製品はと考えると、トヨタ自動車には「プレミオ」「アリオン」「SAI」「レクサスHS」「アベンシス」などの車種がそろっているが、日産自動車やホンダは米国市場向けに、CDセグメントよりさらに上のDセグメントでは「アルティマ」や「アコード」といった車種を持つが、CDセグメントに該当する車種が存在しないのだ。

 2015年、メルセデス・ベンツが16年ぶりにVWから輸入車販売台数1位の座を奪い取る原動力になったのは、2014年7月に国内で販売を開始した新型Cクラスの好調が大きいが、その販売を伸ばした1つの理由は、このクラスでセダンを買おうとしても、国産車の選択肢が狭いというところにあるのではないだろうか。

 今回取り上げる独アウディの新型「A4」も、同社の中核車種となるCDセグメントのセダンだ。今回の約8年ぶりの全面改良では、クルマの土台となるプラットフォームだけでなく、エンジンや変速機まで全面的に一新されており、その気合いの入り方が分かる。その一方で外観は、一見どこが変わったのかな? とクルマに詳しくない人なら思うくらい、キープコンセプトのデザインである。ただ、よく見てみるとヘッドランプやグリルの角がより鋭角になっていて、シャープな感じを与える。

ホットプレス材を多用

 プラットフォームは、「MLBエボ」と呼ぶ新開発のものに刷新された。すでにこの連載の第24回で紹介しているように、世界の完成車メーカーは設計の柔軟性の高いモジュール構造の新プラットフォームを採用し始めているが、その先駆けとなったのがVWの「MQB」である。MQBとは、ドイツ語で横置きエンジン車向けのモジュール構造のプラットフォームのことなのだが、これに対して、アウディではVWブランドよりも一足先に、MLBと呼ぶ縦置きエンジン車用のモジュール構造のプラットフォームを採用してきた。