フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)が1月12日に発売した新型「ゴルフ トゥーラン」

 不謹慎極まりないたとえで申し訳ないのだが、ミニバンというクルマは、つくづく麻薬のようなクルマだと思う。なにしろ、お父さんお母さんと子供に加えて、ときにはおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に移動できる。誠に家族孝行、親孝行なクルマである。クルマの中で寝ることもできるし、キャンプの道具も積み込める。自転車を積んで、出先でサイクリングをするのもいい。使い勝手という点で、これほど便利なクルマはないだろう。

 もちろんミニバンも万能ではない。背が高いということは、物理的には車体が重くなり、また重心が上がるからロールしやすくなり、操縦安定性の面では不利だ。無理に操縦安定性を高めようとサスペンションのバネを硬くすれば、今度は乗り心地が悪化する。空気抵抗が増えるから、燃費や横風の影響の受けやすさでも悪影響がある。

 ただ、最近のミニバンは、こうした点もだいぶ改良されてきている。このコラムの第27回で紹介したホンダの「ステップワゴン」は、背の高いミニバンであるにもかかわらず、良好な乗り心地と、カーブでも不安を感じさせない操縦安定性を両立させていた。ダウンサイジングターボエンジンの採用で、従来型より燃費も向上させている。ミニバンを「選ばない理由」は、どんどん少なくなっているのだ。

それでも「背の低いミニバンが欲しい」

 それでも、だ。このコラムの第21回で「背の低いミニバン」として同じホンダの「ジェイド」を取り上げたとき、コメント欄には「背の低いミニバンが欲しい」という多くの声が寄せられたのには少々驚いた。背が低く、よりスポーティだが、いざというときに7人乗れる利便性は捨てがたい、というユーザーが、実は世の中には少なからずいるのではないか。

 ホンダの「ストリーム」や、3代目、4代目「オデッセイ」に乗っていた人の「乗り換えるクルマがない」という声は、まさにその通りだろう。3代目オデッセイに対抗してトヨタが発売した「マークX ジオ」はとうの昔になくなってしまったし、同じくトヨタ自動車がストリームに対抗して発売した「ウィッシュ」も2009年に2代目が登場して以降、全面改良を迎えることなく、今日に至っている。