ソフトウエアアップデートによって自動運転機能が追加された米テスラ・モーターズの「モデルS」。これは最強仕様の「P85D」だ

 ご存じの読者も多いと思うが、村上春樹のベストセラー小説「ノルウェイの森」の中にこんな場面がある。ガールハントを繰り返す寮の先輩の「永沢さん」に、主人公の「僕」がこう尋ねるのだ。「ハツミさん」という素敵なガールフレンドがいるのに、こんなことを続けていて空しくならないのか、と。このときの永沢さんの答えがふるっている。「つまりさ、可能性がまわりに充ちているときに、それをやりすごして通りすぎるというのは大変にむずかしいことなんだ。それ、わかるか?」

 筆者は残念ながら、こんな可能性に充ちていた経験はないのだが、「可能性がまわりに充ちているときに、それをやりすごして通りすぎるというのは大変にむずかしい」というのは、読者の誰もが経験していることではないだろうか。なんでこんなことを言い出したかというと、自動運転機能が追加された米テスラ・モーターズの電気自動車(EV)「モデルS」に試乗する機会があり、そのセリフを思い出したからだ。

 このクルマは、2016年1月のソフトウエアアップデートによって、日本の公道を走れるクルマとしては初めて「手放し運転」を可能とする機能を備えるようになった。テスラモーターズジャパンは今回追加された自動運転機能について、公式ブログの中で「安全性をさらに向上し、ドライバーがより自信を持って運転できるよう、また、高速道路などの長距離運転をより快適にするためのもの」だと位置づけており「手放し運転は、道路交通法70条の安全運転義務違反に該当します」と手放し運転をしないように求めている。

 「1. 道路交通法119条第1項9号違反 懲役3月以下、罰金5万円以下 (過失の場合は同条2項で罰金10万円以下) 2. 交通違反の点数 2点」と、違反の場合の制裁についても書き添える念の入れようだ。しかし、このクルマに乗って「手放し運転の可能性」をやり過ごすのは、永沢さんがガールハントの機会をやり過ごすよりも難しいだろうと思った。

車線変更や駐車の自動機能も

 今回モデルSに搭載された自動運転機能は、2016年1月15日から国内で配信が始まったソフトウエア「バージョン7.0」に含まれるものだ。このバージョン7.0は、すでに米国では2015年の10月から配信が始まっている。