クルマがIoTの一部になる

 そして、ヒトとクルマの新しい関係が求められているもう一つの背景がIoTである。IoTは「モノのインターネット」とも呼ばれるが、要はあらゆるものをインターネットに接続することによって、相互に情報交換をしたり、遠隔制御したりすることを可能にしようというものだ。このIoTが、今回のCESではまさに最大のトレンドであり、何をインターネットにどうつないで、どんなサービスをしたら新しい価値を生み出せるかで、巨大企業同士の熾烈な競争が始まっている。

IoTをメインテーマに据えた独ボッシュのプレスカンファレンス

 その渦の中に、当然クルマも巻き込まれており、クルマをインターネットにつなぐことによって、様々な情報を車内で利用できるようにしたり、クルマの機能を外部から制御しようとしたりという動きが活発になっている。確かに、スマホで利用している様々な情報やサービスを車内でも同様に利用できたら便利だろうと思うし、つながるクルマが一般化すれば、いままでに存在しなかった、クルマ向けの新しいサービスも登場するだろう。

 しかし、ここでも課題がある。それは、ヒトとクルマのコミュニケーション手段である。先ほど自動運転のところでも説明したように、現在の自動運転技術はまだ不完全であり、外界の監視に加え、クルマの状態の監視さえも必要だ。従って、現在のスマホのような、タッチパネルなどを通じた情報入力を運転中にすることは危険を伴う。

 つまり自動運転にしても、IoTにしても、人間が監視したり、チェックしたりする情報は増える方向にあり、これをどう整理して分かりやすく人間に伝え、多彩な機能をいかに容易に使いこなせるようにするかが大きな課題になっているということだ。これが「ヒトとクルマの新しい関係」が求められている所以である。難しい言葉でいうとHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)に変革が求められているということになる。HMIは、直訳すればヒトとクルマの接点ということだが、この接点が、今まさに変わることを求められているのだ。

人工知能活用するトヨタ

 こうした課題に正面から向き合ったのが、今回トヨタ自動車が出展したコンセプトカーだ。その名も「Cocept-愛i」という。二つの「アイ」があるのは、「愛車」、つまり愛されるクルマと、「Intelligent」、つまり賢いクルマという二つの方向を目指しているからだ。

トヨタ自動車が出展したコンセプトカー「Concept-愛i」

 このコンセプト車の特徴は、「人間について理解する(Learn)」「人間を守る(Protect)」「人間を触発する(Inspire)」という三つの機能を備えていることだ。このうち「Learn」の技術は、ドライバーの顔の表情や動作、声の調子、心拍数などの生体データ(ウエアラブルデバイスなどから収集することを想定)などをデータ化して、ドライバーの状態を推定する。