「インタフェース」というのは分かりにくい表現かもしれないが、要は、クルマのエンジン(e-Palleteの場合はモーターだが)やブレーキ、ステアリングなどを制御するソフトウエアを、車両の外部から操作するための方法や仕様を定めたものがAPIである。従って、公開されたAPIを使って、トヨタ以外の企業がe-Palleteの動きを操作できるようになるわけだ。

車両制御のインターフェースを公開することで、外部企業が開発した自動運転ソフトでe-Palleteを制御することを可能にした

 これも、いったいどこが画期的なのか分かりにくいかもしれないが、現在は一般にAPIは公開されていない。というのは、APIを公開してしまうと、外部からクルマの動きを操作できるようになるわけで、ユーザーが勝手にエンジンやステアリングの動きを変えてしまう恐れがあるし、もっと悪い想像をすれば、悪意ある第3者が、通信回線などを通じて外部から車両を操作することが容易になる。

 APIが公開されていない現状でも、何らかの方法でAPIを入手して、外部からクルマを操作したという例が、これまでにも報告されている。クルマの安全確保という点から、これまで完成車メーカーはAPIの公開には非常に慎重だった。これを公開するというのには、かなりの覚悟が必要だったに違いない。

マツダとも提携する意味

 もう一つ、筆者が非常に面白いと思ったのが、e-Palleteの開発の提携先にマツダの名前が入っていたことだ。IT大手のサービスプロバイダーばかりが並ぶ中で、マツダの名前はかなり異色に映る。e-Palleteの開発を統括する友山茂樹専務役員の発言によれば、マツダのレンジエクステンダー技術を活用することを念頭に置いているという。

 レンジエクステンダーというのは、EVの航続距離を伸ばすために搭載する発電用エンジンのことだ。現在のe-Palleteは主に都市内での使用を想定しており、それほど長い航続距離を必要としないため、EVを基本としている。しかし用途によっては長い航続距離が求められる可能性もある。マツダはEVのレンジエクステンダーとして、以前からロータリーエンジンを活用することを検討してきた。ロータリーエンジンは、効率という点では通常のレシプロエンジンに比べて不利なのだが、小型のエンジンでも回転バランスが高く、静かで振動を少なくできるというメリットがある。

 EVに発電用エンジンを搭載する場合に問題となるのはエンジンの振動と騒音である。静かで振動の少ないEVの場合、電池の残量が少なくなり、発電用エンジンを始動して振動・騒音が高まると、せっかくのEVの静粛性は台無しになる。通常のクルマ以上に、EVのレンジエクステンダーは低振動・低騒音が求められるのだ。トヨタがマツダのレンジエクステンダーに目をつけたのにはこうした理由がある。