オープン・イノベーションの手法を取り入れる

 筆者が強い印象を受けた第2のポイントは、ウーバーや米アマゾン・ドット・コム、中国のライドシェア大手の滴滴出行など、海外のIT大手企業と開発の初期段階から提携して車両の開発に取り組むと発表したことだ。完成車メーカーの商品開発においてはこれまで、さまざまなユーザーニーズを調査しつつも、開発そのものは秘密裏に進めるというのが普通だった。これに対して、今回はまず「生煮え」の状態のコンセプトを先に公開してしまい、想定ユーザーの意見を聞きながら完成形まで持っていくという、これまでの自動車開発とは大きく異なる手法を採っている。

米ウーバーや米アマゾン、中国の滴滴出行など、海外のIT大手企業と開発の初期段階から提携して「e-Pallete」の開発に取り組むと発表した

 こういうやりかたは、自動車開発においては異色だが、ソフトウエア開発においてはある意味当たり前の手法になっている。すなわち、ベータ版と呼ばれる完成前のソフトウエアをユーザーに公開し、実際に使ってもらってバグの解消や使いにくいポイントの改良などにつなげるというものだ。

 しかもこのe-Pallete自身が非常に多様な用途に対応できる設計になっている。エンジンがないEVのレイアウトの自由度を生かした低くフラットな床と箱型デザインの組み合わせで、広い室内空間を確保し、内部を自由に改造することで、ライドシェアリング仕様、移動ホテル、移動店舗などといった目的に応じた車両を実現できる。つまり、ハードウエア自体も、外部の協力企業との協力を前提にしたオープンな設計となっているわけだ。

内部を改造することで同じ車両を様々な用途向けに変更できる

車両制御のためのAPIを公開

 そして、筆者が大胆だと感じた第3のポイントは、かなり専門的になって恐縮なのだが、車両を制御するための「API(Application Program Interface)」を公開することだ。これがどういうことかというと、例えばウーバーなど、現在独自に自動運転ソフトウエアの開発を進めている企業は、そのソフトを使ってe-Palleteを動かせるということなのだ。これのどこが画期的なのかと思われるかもしれないが、順に説明していくと、まずAPIとは、クルマを制御するソフトウエアと外部からやり取りするためのインタフェースのことである。