(D) エンドマーケットとのコラボレーション

 世界の農業および食料産業に共通するのは、一般消費財メーカーなどが、生産コストと供給の安全性の改善に生産者と積極的に協働しているという点である。

 例えば、スターバックスはコスタリカとルワンダに生産者支援センターを設立し、現地の生産者に生産コストの削減、真菌感染症の感染の抑制、コーヒー品質の向上、そして、プレミアムコーヒー生産の増加のためのリソースや助言を提供している。

 カーギルは2,500以上のフィールドスクールを設立し、生産者にココア生産管理および持続可能性向上のベストプラクティス(最善策)を教えている。同スクールで学んだコートジボワールのココア生産者の収益は53%増加した。

(E) アグテックの可能性

 世界的に見ても、この分野の投資は増加している。マッキンゼーの調査では、ベンチャー企業による食料および農業分野への投資額は、2013年は9億ドルだったが、15年には46億ドルと5倍に増加した(■図表4)。

■図表4 我々は農業で一番革新的な時期の最前線にいる
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資料: AgTech Investing Report 2015、マッキンゼー分析
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 アグテックによるソリューションや、収集したデータの利用の仕方は、生産現場だけとっても多岐にわたる(■図表5)。

■図表5 正確性の高い農業においては、情報をデータに基づく意思決定に用い、フィールドレベルでの活動に結びつける
<font size="+0.3">■図表5 正確性の高い農業においては、情報をデータに基づく意思決定に用い、フィールドレベルでの活動に結びつける</font>
資料: マッキンゼー
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