以下、順に課題の詳細と対応策を解説する。

(A)農業資材の購買

 農業生産に不可欠な肥料は、世界的にはごく一部の大手メーカーしか製造していない上に、原料の鉱山資源は取り合いになっている(■図表1)。

■図表1 窒素、リン酸、カリウムの調達しやすさは産出国の数によって異なる。窒素はどこでも取れる一方、カリウムの産出国は限られており、一部のプレーヤーに産出地を押さえられている。リン酸の産出はその中間的な位置づけ
(1) 窒素、リン酸、カリウムの計算にはそれぞれ、アンモニア、リン酸アンモニウム、塩化カリウムの数値を使用
資料: ポタシュ・コーポレーション、IFDC、IHS Chemical SRI、マッキンゼー分析

 最も原料の産出国が限られているカリウムの場合、メーカー側は輸出取引を有利に進めるために輸出組合(カナダのカンポテックスと、過去にはベラルーシのBPCが2大輸出組合)を作って交渉を一本化しており、日本などの需要国側の意向が反映されにくい構図になっていた(■図表2)。

■図表2 カリウムの場合、埋蔵地域が限られているため、国際的な取引市場は一部のプレーヤーのシェアが大きくなっている
資料: IHS Chemical SRI 2015、マッキンゼー分析

 こうした状況に拍車をかける動きが以下だ。

■2015年12月
米デュポンとダウ・ケミカルが合併を発表。合併後は、農業、汎用化学品、高機能化学品の3事業に会社分割する。

■2016年2月
中国国有の化学企業、中国化工集団がスイスの農薬・種子大手のシンジェンタの買収を発表。

■2016年9月
カナダ大手肥料企業のポタシュ・コーポレーションが同国内の同業であるアグリウムとの経営統合を発表。

ドイツの医薬・農薬の大手バイエルが遺伝子組み換え作物の種子では世界最大手の米国モンサントの買収を発表。