世界の食料需要は増加の一途

 世界の人口は増加し続け、2030年には80億人を超える見込みだ。2009年と比較すれば10億人以上の増加だ。この量的なインパクトだけでも、食糧需給に与える影響は多大だが、質的な変化も加わる。生活水準の向上に伴い、1人当たりの摂取カロリーが増加するのだ。マッキンゼーは、2030年の肉の消費が2009年比で7割増になると予想する。肉と生産量トップ4品目の農産物(トウモロコシ、小麦、米、大豆)については、量的、質的変化の影響で、2010年の需要に比較して2030年は4割から5割増になると見込む(■図表2)。

■図表2 世界の人口の増加および食生活の変化により、2030年には農作物の需要が40~50%増加
資料: 米国農務省、国際連合食糧農業機関(FAO)、エキスパートインタビュー、マッキンゼー分析

 このトレンドの一部は、中間消費者層(年収2万ドル~7万ドル)の拡大による個人消費の増加の結果だ。全世界の中間消費者層は、経済発展と人口増の双発エンジンにより急拡大している。こうした消費者が使う食費は、拡大しこそすれ、減少することなどないはずだ(■図表3)。

■図表3 全世界的に中間消費者層は拡大している
資料: グローバルインサイト、Cityscope database、マッキンゼー分析

土地の荒廃や水資源不足で
生産性伸び率は低下し、食料価格は高騰する

 一方、主要作物の生産性の伸びは、1960年代以降、低下する一方だ。国連食糧農業機関(FAO)のデータをマッキンゼーが分析したところ、世界の主要作物の収穫量の伸び率は、1960年代は2.2%あったが、2010年代は1.2%と半分近くの水準となった。土地の荒廃や水資源の不足などにより、伸び率が改善するには厳しい状況だ。2009年のSAGEのレポートによると、世界の耕作地の20%は既に荒廃して、農業に適さなくなっていると報告されている。水資源についても2025年には27%が不足する見込みだ。