※上記筆者のうち、田中氏・山田氏は日本語版の監修

マッキンゼーが最近公表したレポート「日本における農業の発展、生産性の改善に向けて」は、こうした“あなたが知らない日本と世界の「食と農業」の姿”を描くとともに、日本の農業が未来型産業として生まれ変わる方法を提案している。2回に分けて、そのレポートのエッセンスをご紹介する。第1回(上)の今回は、「日本の農業のユニークさと、グローバルに見た食と農のトレンド」について分析する。
“ユニークな産業”へと発展を遂げた日本の農業
日本の農業は、近年、産業としてはかなりの規模に発展している。
1970年に120億ドルであった農業GDP(名目。2005年ドル水準での実質では720億ドル)は、1985年には410億ドル(同。実質は770億ドル)に成長した。統計で確認できる直近のデータとしては、2013年には580億ドル(同。実質でも580億ドル)と、世界で第9位の規模だ(名目GDP、2013年)。
規模もさることながら、実はその中身が、グローバルに見ると、良し悪し両面にわたってかなりユニークだ。では、日本の農業について、生産~流通~消費のバリューチェーン(事業価値の連鎖)をたどりながら、その特徴を明らかにしてみよう。
コメを生産する時の原材料コストは、米国・中国の約4倍
コメ1トンを生産するのに必要な農業原材料コスト(肥料、農薬、種子のコスト)を、日本・米国・中国で比較すると、日本のコストは、米国・中国に比較して概ね4倍にもなっている。コメだけかと思いきや、大豆と小麦についても、米国・中国に比較して、大豆は概ね5倍、小麦も3倍になっている。
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