根源的課題はどこにあるのか
図1は、今年4月に行ったマッキンゼーの海外旅行者調査結果の一部だ。日本への旅行を検討した西欧人の約40%しか実際に訪日していない。一方、タイではこの値が60%にも上る。
これは西欧の旅行者が、単に日本でどんな観光ができるのかを知らないことも一因と考えられる。実際、日本の主な観光資源について具体的な情報を提供すると、彼らは日本の観光地に非常に強い興味を示すし(図2)、そもそも日本を訪れた旅行者は高い満足度を示し、再来日したいと答えている。
「取りこぼし」を解消する必要がある
インバウンド観光の成長に最大限のインパクトをもたらすためには、「検討」から「実際の旅行」へと進む際の取りこぼしを解消する必要がある。そのためには、西欧からの旅行者に日本が提供できる価値についてよく知ってもらい、いくつかの分野(値ごろ感、観光資源の認知度、ウェブサイト閲覧者からソーシャルメディア上のファンへのコンバージョン、くちコミ)で日本のイメージ向上に取り組む必要がある。
例えば、日本の観光関連のウェブサイトは外国人旅行者の視点を十分に取り入れたデザインになっていないため、明確で説得力のあるイメージを提供できていない可能性がある。他国に比べて、日本を旅行した外国人は高い満足度を感じているのに、こうした個々の旅行者が日本の「アンバサダー」(日本を好きになって友人や知人などにPRをしてくれる人)として機能していない。さらに、旅行者に対して、前回は訪れなかった観光資源を宣伝するための公式アプリや、旅行後のコミュニケーション体制などが十分に用意されていない。加えて、仮にこうした課題が認識され、都市部で成功したとしても、地方では人材・資金・知見の不足のために差別化したサービスモデルを確立できないと思われる。
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