このように、デジタル技術を駆使した金融分野のサービスをフィンテック(FinanceとTechnologyを合わせた造語)と呼ぶ。[図表1]は、マッキンゼーが注目する主なフィンテック企業とそのサービス内容だ。日本でもおなじみのブランドが複数ある中、耳慣れない企業名も多いことだろう。

ベンチャー、異業種が主役

 マッキンゼーの最近の調査では、2015年8月現在、世界中に1万2000社を超えるフィンテック企業があり、その数は日々、増えこそすれ減ることはない。もちろん、欧米中心に既存の銀行など金融機関がフィンテックに取り組んでいる例もある。だが、大半はベンチャー企業か、フェイスブックやグーグルのような異業種の企業だ。

 彼らの狙いは、ズバリ、2014年に初めて合計1兆ドルを超えた、世界の金融機関の利益(税引き後)だ。金融業界では、特有の様々な規制が各国で新規参入を妨げ、競争を阻害してきた。

 このため、他業界で起こっているデジタルテクノロジーを生かしたイノベーションは、金融業界にとっては「異国の出来事」に近かった。だが、イノベーションの大波が今、押し寄せている。その証拠に、マッキンゼーの調査では2013年~14年にかけてフィンテックへのベンチャーキャピタル投資は40億ドルから122億ドルに急増した。

 [図表2]は、マッキンゼーが分析した世界のフィンテックの活動分布だ。すでに、個人向けのリテールビジネスを中心に、あらゆる種類の金融機関の主要サービス分野に浸透し始めているのが分かる。

 「でも、フィンテック企業が『銀行業』そのものをしているわけじゃないから、影響は少ないはず」と考える読者もおられるだろう。我々の答えは「だからこそ厄介」なのだ。