苦労を踏まえての助言のほか、新たな選択肢も提示された。パートナーを伴い海外転勤をした、夫と家庭の役割をスイッチしたなど、女性役員から様々な体験談が語られた。20代の参加者からは「リーダーを目指すなら子どもは諦めないといけないと思っていたが、そうした線引きをしなくてもいいことがわかった」という声も聞かれた。

 グローバルビジネスに成功したリーダーのキャリアの起点も示唆に富む。

「ファッションとデザインの事業化」セッション。左からコシノヒロコ氏、MCMチーフビジョナリーオフィサー、キム・スンジュ氏、進行役のナティビダッド氏、Natori創業者でCEOのジョージー・ナトリ氏、中国のEve Enterprises創業者でCEOのシャ・フォア氏

 ファッションデザイナーのコシノヒロコ氏は、海外市場に出る前に日本の精神をまず知るべきだと考え、安藤忠雄氏に依頼して山の中にミニマリズムの家を建て、自然と共生する感覚を肌に刻み込んだという。そこから日本ならではのデザインを編み出し、欧州で高い評価を得ることになる。

 会期中にはナティビダッド氏が代表を務める米国の調査機関CWDI(Corporate Women Directors International)が、アジア太平洋地域における役員に占める女性比率を発表した。同地域の平均は12.4%で、欧州や北米、アフリカを下回る(下の図)。日本は6.9%と各国に比べると低位にとどまるものの前進がみられる。

(注)米国の調査機関CWDI(Corporate Women Directors International)が2017年5月12日に発表

 セッション「女性役員登用を加速するために」では、フランスが罰則つきのクオータ制(割り当て制)を導入し、2007年に8.5%だった女性役員比率を2017年に40.6%(上位40社平均)にまで高めた取り組みや、英国やオーストラリアで目標設定、情報開示を徹底することで女性役員比率を25%を超える水準まで引き上げたプロセスが詳細に報告された。