5月11~13日、62カ国から女性リーダー1300人が集まり「2017世界女性サミット」(2017Global Summit of Women=GSW)が開かれた。同サミットは1990年に始まり、日本では初めての開催となる。日本からは各界の女性リーダーら約400人が参加。安倍晋三首相、そして小池百合子都知事も駆け付けた。熱気あふれる3日間、何が語られたのか。参加者は何を得たのか。

右から、安倍晋三首相に世界女性リーダーシップアワードを授与すると発表するアイリーン・ナティビダッド氏、安倍晋三首相、東京大会実行委員長の中村紀子氏、ベトナム国家副主席のダン・ティ・ゴック・ティン氏
右から、安倍晋三首相に世界女性リーダーシップアワードを授与すると発表するアイリーン・ナティビダッド氏、安倍晋三首相、東京大会実行委員長の中村紀子氏、ベトナム国家副主席のダン・ティ・ゴック・ティン氏

 5月11日夜9時過ぎ、ブルーやピンクと色鮮やかにライトアップされた赤坂迎賓館の前庭に、アオザイや和服など華やかな衣装に身を包んだ女性たち1000人以上が集まった。「2017世界女性サミット」(2017Global Summit of Women=GSW)のレセプションディナーである。東京大会実行委員長を務める中村紀子氏(ポピンズ社長)が奔走して迎賓館での開催を実現し、樽酒や和太鼓で各国の女性をもてなした。

赤坂迎賓館で行われたレセプションティナ―。樽酒鏡開きで挨拶をするナティビダッド氏。後方に加藤勝信特命担当大臣、中村紀子東京大会実行委員長
赤坂迎賓館で行われたレセプションティナ―。樽酒鏡開きで挨拶をするナティビダッド氏。後方に加藤勝信特命担当大臣、中村紀子東京大会実行委員長

 同サミットは1990年、フィリピン系アメリカ人のアイリーン・ナティビダッド氏が女性の経済的な機会を広げることを目的に始めたもので、一昨年はサンパウロ、昨年はワルシャワで開催するなど世界五大陸を回りながら開催してきた。政府関係者、大手企業の経営層、起業家や非営利団体の代表らが同じテーブルに着いて議論する。

開会式で旗を振って立ち上がるコンゴの参加者(左)<br />各国の参加者と休憩時間に記念撮影(右)
開会式で旗を振って立ち上がるコンゴの参加者(左)
各国の参加者と休憩時間に記念撮影(右)

 今回は62カ国から約1300人が参加し過去最大の規模となった。海外からの参加をみると中国95人、カザフスタン85人、ベトナム81人、韓国66人とアジア勢が上位を占める。欧米は米国55人、スペイン46人など。アフリカからも、コンゴ、カメルーンなどから参加者を迎えた。日本からは、女性経営者や管理職、起業家、NPO関係者ら約400人が参加した。

カメルーンからの参加者(左)<br />カザフスタンからは女性ビジネス協会のメンバーが来日。同国での万博開催をアピールするため民族衣装で舞踊を披露した(右)
カメルーンからの参加者(左)
カザフスタンからは女性ビジネス協会のメンバーが来日。同国での万博開催をアピールするため民族衣装で舞踊を披露した(右)

 日立ソリューションズの主任技師、中西真生子さん(42)は、有給休暇をとり自費で参加した(企業からの参加費は3日間で950ドル)。昨年のポーランド大会に続いて2回目の参加だという。「安倍首相や小池知事など政府の要人や男女のリーダーが、どういうプレゼンテーションをするか関心があった。自分が組織に戻ってどう行動するかを考えたいと思った」

 スペインから参加した起業家支援会社レッド・クイーン・ベンチャーズのシニアパートナー、マリア・J・アロンソさんは、今回で8回目の参加となる。「各国のビジネスウーマンとネットワーキングができるし、サミットで設定されるテーマで世界の潮流がわかる。何が課題なのか、どう変化しているかを押さえておくことが、仕事をする上での自信につながる」と参加の理由を語る。

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