「子供と向き合うのは幸せだが、家事は好きでやっているわけではない」

 乳幼児を育てる共働きの女性4人に話を聞いた席のこと。週刊誌「AERA」が紹介する、夫婦の家事分担チェック表が実に役立つという話で盛り上がった。

 夫と妻、それぞれが担当する家事、育児の分担を色分けしてみると、妻の色でほぼ染まるという。夫は、朝保育園に子供を送っていくことで、「イクメン」を自認するものの、そのほかは妻の分担が大半であることが一目瞭然となる。「共同経営責任者」の話し合いでは、家事分担の偏りを示す、重要な会議資料となる。

 また、忙しい夫婦ではスケジュールを共有するスマホアプリが必須だという。互いのスケジュールを共有することで、保育園の送り迎えといった予定が調整できる。

 最後は、根気よく「対話」を続けることが、何より大切だという。

 ある女性は、子育てをしながら経理のプロとしてばりばり働いてきたが、二人目を出産した後、思いつめてしまった。SEの夫は、残業続きでほぼ毎晩終電帰り。「私一人で子育てをしながら仕事を続けるのはもう限界だ」と思ったのだ。深夜に帰宅する夫をつかまえては、諦めずに話し合いをした。

 ある時、「子供と向き合うのは幸せだが、家事は好きでやっているわけではない」と言ったところ、夫は驚いた表情を浮かべた。夫の母親は専業主婦だったせいか「家事は女性がやるもの」と思い込んでいたという。夫婦二人で子育てしながら仕事を続けるにはどうしたらいいか――。対話を重ねて、夫は子育てと仕事が両立できる会社への転職を決意したという。

 仕事の「見える化」と、スケジュール共有、そして何より大切なのが夫婦の「対話」―-。もし前回の記事「働き方改革は、信頼に根差した『対話力』革命」をお読みいただいているとしたら、すでにお気づきだろう。家庭においても、職場で「働き方改革」を進める上でのポイントがそのまま当てはまるのだ。

 こうしてみると「逃げ恥」は、これからの働き方、夫婦の在り方を考える上でも示唆に富む。エンターテインメントとして楽しめるだけではなく、今という時代を映した社会性という点でもヒット作といえるのではないか。「小賢しく」分析するなら、そんな評価もできるだろう。

女性に伝えたい 未来が変わる働き方(野村浩子著、KADOKAWA刊)

元『日経WOMAN』編集長が提案する、二極化時代の新しい生き方、働き方

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