対話を重ねながら、厳しく成果は求める

 働き方改革をけん引するマネジャーは、単に社員の多様な働き方を後押しするだけではない。どんな働き方をしても、成果を出すように導いている。部下がいつも目の前にいてコミュニケーションが取れることをもってよしとはしない。職場にフルタイムいることで評価しない。その代りに、どれだけの「成果」を出したかを厳しく問うている。

 丹羽さんのチームでは、短時間勤務だから「ゆるい働き方でいいや」という甘えは許されない。ただし、単に厳しくするのではなく個々の得手不得手を見極めて「短時間でも少し苦労をしながら成果を上げることができるようなことを担当させる」という。「苦労と成果をセットにする、そうしないとモチベーションが上がらない」と丹羽さんは考えているのだ。特に短時間勤務者には、仕事の準備とスケジュール管理、同僚との役割分担を意識して、時間当たり生産性を上げるように働きかけている。

 部下のひとりである深瀬志穂さん(37)もまた、子育てのために6時間勤務をしながら丹羽さんの期待をひしひしと感じている。16時に退社する深瀬さんは、その時間になると「きゃー、もう時間だ」と叫び出したいような気持ちになる。ホームページ上のFQAの作成を全面的に任されているものの、時間をかけることはできない。もっと仕事をしたいけどできない。周りに迷惑をかけてはいけないと、「ほうれんそう」をより密に早め早めに行うことを心掛ける。さらに仕事の質で勝負しようと、「時間当たり生産性」を上げるため、ノーツスケジュールに仕事内容を書き出して、時間当たりにどれだけできたかを、日々確認しているという。

 ユニリーバの堀田さんもまた、どの仕事にどのくらいの時間がかかるかリスト化している。昨年春に育児休業から復帰した後、業務量が増えて回らないと感じていた。上司に相談したところ「忙しいから終わらない」という漠として訴えは認められず、時間あたりの仕事を書きだすよう指示された。このファクトをもって、業務を減らしてもらうことになったという。

 同社は外資系企業らしく、ジョブディスクリプション、つまり仕事の役割と責任領域が個々人に示されている。加えて1年間で期待されること、何をなし遂げるべきかが明確になっている。仕事の責任領域が明確で、成果で評価されることがはっきりしているため、在宅勤務で周りの目がないからサボってしまおうという気持ちにもならない。上司と部下は、成果と生産性のファクトをもって対話をすることになる。

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