管理職の力量の差が明らかになってきた

 WAAを利用する上での決まり事のひとつが、仕事中は常にスカイプをONにしておくこと。チャットもできるし、顔を見ながらいつでも話ができる。画面上で資料を見ながら打ち合わせや会議に参加することもできる。出張や営業などで外出中の社員が、仕事の合間にシェアオフィスなどからスカイプを利用して社内の会議に参加することも増えたという。もはや「スカイプなしにWAAは考えられない」(堀田さん)という。

 テレワークを行う上で、ICTのサポートは生命線となっている。だからこそ、どこでもサクサク動かないと生産性が落ちてしまう。同社の利用者アンケートでは、スカイプの質を上げてほしい、社外からイントラネットに接続しにくいと指摘する人が、それぞれ2割弱いるという。

 職場でスケジュールや情報を共有するグループウエアの利用は既に浸透している。通信環境のさらなる整備が必要だという課題が見えてきた。制度を始めて半年が経った現在では、シェアオフィスをもっと増やしてほしいという声も多く聞かれるという。

 さらに浮かんできた課題は、管理職のマネジメント力だ。伊瀬さんのようなマネジャーばかりかというと、そうとも限らない。WAA導入により「管理職の力量の差が明らかになった」と取締役・人事総務本部長の島田由香さんはいう。WAAの利用にあたっては上司の許可が必要になるが「なんとなく申請しにくい」「上司が会社に来てほしいという顔をしている気がする」と戸惑う社員も中にはいるという。

 問題の根っこにあるのは「信頼」だと、島田さんは見ている。「何でも言える、安心、安全な場をつくり、互いに信頼できるチームをつくる」ことが制度の基盤になるという。

 そこで同社は、チーム力を強化するワークショップも行っている。出発点となる研修では、管理職自身の「Being」から問い直すという。「自分自身が満たされていないと、部下の立場に立って、感情の奥底にあるニーズまで掘り下げて考えることができない。部下にとってのWAAの必要性も判断できない」というのだ。

 「あなたは満たされていますか」――管理職が、部下の多様な働き方を認めて、成果を引き出すには、時にこうした根源的な問いかけに立ち返ることも必要なのだ。

WAAの働き方を社会に広げたいというユニリーバ・ジャパン取締役の島田由香さん
WAAの働き方を社会に広げたいというユニリーバ・ジャパン取締役の島田由香さん

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