「さつまいものテーマパーク」実現への道、成功要因はどこに?

日本初のさつまいものテーマパークがなぜ行方で実現したのか。それを紹介する前に、まず日本のさつまいも市場について押さえておきましょう。
農水省の「さつまいもの統計データ」によれば、日本のさつまいもの収穫量は1955年の718万トンをピークに減少、2010年には86万トンに落ち込んでいます。日本のさつまいもの自給率は1996年まで100%でしたが、1997年以降徐々に落ち込み、2006年には92%となりました。農水省の「平成26年産かんしょの収穫量(全国農業地域別・都道府県別)」によれば、日本国内のさつまいもの三大産地は、第1位が鹿児島県(作付面積1万3400ヘクタール、収穫量33万6300トン)、第2位茨城県(6680ヘクタール、17万3000トン)、第3位千葉県(4290ヘクタール、10万8500トン)で、3県合わせて収穫量の69.6%を占めます。
ただし、鹿児島県では大半がでん粉や焼酎の加工原料で、食用としては茨城県や千葉県がトップクラスです。日本で栽培されているさつまいもの品種は40種類前後。さつまいもの見た目や味を左右するのは土壌で、三大産地はいずれもさつまいもの栽培に適した火山灰土ですが、その色や性質は地域により異なります。
JAなめがたは茨城県南東部に位置し、北浦と霞ヶ浦という2つの湖にはさまれ、湖岸には水田地帯、傾斜や起伏の多い行方台地には大規模な畑作地帯が広がる、比較的温暖な農業地域です。農産物販売額1位はさつまいもで、約1万2000人の組合員数のうち、さつまいもの生産農家は300人ほど。行方市で本格的な食用のさつまいもの栽培が始まったのは1976年。行方市の麻生地区で生産者50名からなる甘藷部会が設立。1984年さつまいもの主力品種の「ベニアズマ」を他の産地のものと区分するため、独自の銘柄商品とすべく「紅こがね」と命名、生産規模の拡大へ繋がっていきました。
ただ、行方で栽培するさつまいもには1つ大きな弱点がありました。それは栽培する土壌の特性からさつまいも表面の皮の色が薄く、見た目で他の産地に劣ることでした。当時、農産物の評価は見た目重視。味は良いのに市場で評価されない。そこでJAなめがたが考えたのが見た目ではなく、中身の味で勝負できる「焼き芋」の販売でした。スーパー等で行方のさつまいもを使った焼き芋を提供、味の良さでJAなめがた産のさつまいものブランド力アップを図ろうとしたのです。
そんな時、出会ったのが白ハト食品工業でした。
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