基本計画(第二期) 2013年4月から5年間、転機は?

(左)大分駅南土地区画整理事業、駅南の新都心拠点の複合文化施設「ホルトホール大分」、駅前広場、幅員100mのシンボルロード整備等 (右)今後、近世の歴史文化観光拠点と位置付ける「大分城址公園・府内城跡」だが、現状内部の主用途は駐車場となっている。
画像提供:公益社団法人ツーリズムおおいた

 大分市の中心市街地において一つ大きな転機となったのは、2011年11月にJR九州が新しい駅ビルの概要を明らかにしたことです。その内容は地下1階、地上23階建て、総延床面積約11万3600平方メートル、店舗面積約3万1000平方メートル規模の複合商業ビルを2015年春にオープン、2年後に200億円の売上を見込むというものでした。ただその予想を上回る規模に集客拠点となることを期待する声がある一方、駅ビルの一人勝ちを懸念する声もありました。これ以前にJR九州が新たな駅ビルを建設した長崎(2000年)や鹿児島中央(2004年)では中心商店街の来街者と売上が大きく減少したことなど、地元のシンクタンクが発表したレポートで懸念が示され、計画の全容が未だ見えない状況で地域では期待と不安が入り混じっていました。

 そうした中で事業は第二期に入り、2013年7月には駅南側ににぎわい拠点となる複合文化交流施設「ホルトホール大分」が開館。初年度(9カ月間)は150万人、翌2014年度は目標とする200万人を超える来館者を得ました。2014年7月には施設に隣接する幅100メートルのシンボルロード「大分いこいの道」が完成。芝生広場やイベントスペースも有し、市民活動や憩いの場として利用されるなど一定のにぎわいを生みましたが、そのにぎわいをまち全体に広げることはできず。第二期1年目も目標の達成には至りませんでした。

 しかし2015年4月16日、ついに新たな大分駅ビル「JRおおいたシティ」が開業。半年間の1日の平均来館者数は平日で約6万人、休日は約10万人となり、大分駅では周辺市町村からの乗客数が前年比3割近く増加。大分駅の2015年旅客営業成績(駅取扱収入)は前年比109%となる一日平均1553万円に増加しました。オープンから1年、2016年3月末までの入館者数は当初目標とした1100万人を大きく上回る2420万人、売上高は224億円に達しました。

 同年3月「東九州自動車道(豊前IC~宇佐IC間)」が開通、福岡県と大分県を結ぶ高速インフラが整備されたこともプラスに働きました。大銀経済経営研究所の調査で「1年前に比べて中心部への訪問回数が増えた」と回答した人は隣接市で36%、国東半島地域で40%、東九州自動車道でつながる宮崎県延岡市でも3割に上りました。

 しかし、大分市の中心市街地にとって大きかったのはここにもう一つの要素が加わったことにあります。それが駅ビル開業から8日後、4月24日に開館した大分県立美術館の存在です。大分県立芸術会館の老朽化等に伴い、新たに整備される施設の建設候補地は大分市、別府市、由布市等で争われ、2011年5月、大分市が建設地に選ばれました。建設地があるオアシスひろば21周辺は大分県の「芸術文化ゾーン」に位置づけられ、芸術文化創造の拠点にもなっていることから他の機関等との連携や県民の利用しやすさで勝るとされました。

 筆者が訪れた昨年6月、美術館の壁面にはその夏開催予定の特別展「進撃の巨人展 WALL OITA」に合わせ、原作の大人気漫画「進撃の巨人」のキャラクターが描かれていました。時期を同じくして実写版映画の公開も予定されており、話題性は抜群。これだけで全国から客を呼べる魅惑的なコンテンツでした。8月の特別展に合わせ、JR大分駅では駅ビルに壁を乗り越えようとする超大型巨人の顔が出現。大分市商店街連合会も連携、駅前商店街各所に巨人を迎え撃つキャラクターのパネルや巨大ポスター、宙に浮かぶキャラクターを配置しました。

 また2015年7~9月、大分県は大規模なデスティネーションキャンペーンを行っており、同時期にアートフェスティバル「おおいたトイレンナーレ2015」も開催されました。大分県立美術館は当初の年間来館者数50万人の目標に対し、初年度64万人を記録。駅と美術館を結ぶ道沿いに位置する商店街では通行量が増加しました。