ブックセンター内で販売するドリンクは青森県ゆかりのご当地ものが充実。弘前のカフェ「弘前成田専蔵珈琲」、八戸の地サイダー「みしまサイダー」や「青森ごぼう茶」、アルコールには奥入瀬ビールや下北ワインをラインナップ。

 ほかにも、センターや市民が企画する読書会などイベントや交流を行う「読書会ルーム」、本に関する展示を行うギャラリーも備えます。作家や編集者を招いたトークイベントやワークショップなども定期的に開催します。

 本に関するイベントはセンターの中だけに限りません。2017年9月には「はっちの一箱古本市」などと連携して関連イベントを展開。本好きが集まり、発見や交流をする場作りにつなげています。

親子を対象に本と親しむ機会を増やす

 八戸市は青森県の東南部に位置し、人口は約23万人。青森市に次ぎ県内第2位の規模で、約63万人の商圏人口を有しています。

 地方都市では書店がゼロというだけではなく、映画館のない町も増えています。流通面ではインターネットを通じて都市部と変わらないスピードで商品を手にすることが可能になり、都市部と地方の格差はほとんどありませんが、文化芸術など多様性を秘めた世界との出合いや体験の機会においては、以前からの格差がさらに広がっているように感じます。

 そうした問題にも取り組もうとするのが今回の「本のまち八戸」の事業。ブックセンター開設という“ハード面”に加えて市民、特に子どもが本にふれ合う機会を提供する“ソフト面”の3つの事業にも力を入れています。

 1つめは、生後90日から1歳未満の乳児を対象とした「ブックスタート事業」。乳児健診の際に、ボランティアによる絵本の読み聞かせを行い、参加者に絵本1冊と図書館の利用案内等が入ったブックスタートパックを渡します。絵本を介して赤ちゃんと保護者の心触れ合う時間を持つきっかけにしてもらおうという試みです。

 2つめは「“読み聞かせ”キッズブック事業」。市内の書店で本を購入できる2000円分のクーポンを配布。幼児教育のスタート時点となる3歳児に対し、保護者が読み聞かせを行うきっかけを作るものです。この事業では総発行枚数7108枚のクーポンのうち78.5%が実際に利用され、アンケート調査では「読み聞かせの機会が増えた」が53.5%という結果が得られています。

 3つめの事業は、小学生を対象にした「マイブック推進事業」。市内書店で本を購入できる「マイブッククーポン」を配布しています。保護者とともに書店に出かけ、子どもが自ら本を選んで購入する体験を通して、読書に親しむ環境づくりを狙ったもの。ブックセンターというハード面も加わって、市民が本に触れる機会、市内の書店や図書館に行く機会は着実に増え、町の賑わい創出にもつながりつつあります。