SEEDSモデルを活用すれば、結果は違ったかもしれない

 バイアスを完全に取り除くことは、現実的には不可能でしょう。ただ、それだけに、SEEDSモデルを参考にバイアスを緩和するための対策を講じておくことが不可欠です。

 例えば、クリントン氏が受けた若い女性たちからの反発は、類似性バイアスを念頭に対応を検討していれば、結果は変わっていたかもしれません。クリントン氏の「私はクッキーを焼くような女ではない」宣言が、家庭的なことも大切にしたいと思う人を敵に回してしまった可能性があります。クリントン氏は、このように受け止められる可能性があることを事前に想定し、公の場での発言を断定的なものにしないことを考えるべきだったでしょう。

 そのほか、経験バイアスを検討していれば、シングルマザーや地方の人たちがどのような生活をし、何を政府に求めているのか。自分や自分と同類の人たちの経験だけでなく、幅広くヒアリングし、政策に反映することも可能だったのではと思います。

 クリントン氏の選挙結果から学べることは、自分と同じ価値観を持った人たちばかりと付き合うのではなく、仕事や日常生活の中で多様な人たちと付き合うことを意識することが、女性リーダーとして成長していく上で不可欠ということです。多様な人をリードしていくには、相手はどういう価値観なのか、何を大事にしているのか、それを踏みにじらないように配慮することもリーダーに求められる資質です。

 多様性の中に身を置かなければ、多様性は理解できません。人と違うことのメリットもデメリットも感じない。だから、同じ考えの人たちの中に交わるのではなく、あえて、違う人たちとも交流する必要があるのです。

 あなたは、自分と異なる価値観の人たちと積極的に関わろうとしていますか?自分の中にあるバイアスを見つけるために、SEEDSモデルを使って分析してみてください。