小池都知事は就任直後に、すでに仮説が立っていたのではないか?

 私は小池氏が都知事の就任前から、関係各署の情報収集をこなして、この仮説を立てていたのだと考えています。理由は2つあります。

 1つ目は、就任した直後から立て続けに、豊洲市場問題の情報公開や、待機児童への対策を発表できたという事実があること。実は私も、永田町の知人から聞いていたのですが、豊洲市場の地下空間は、以前から共産党が調べていた問題なのです。情報収集をこなして仮説を立てていたからこそ、彼女は豊洲問題を戦略的に公開したのだと考えられます。

 2つ目は、選挙中に遊説先を幅広く選定し、動いていたことです。他の候補者が都心を中心に動いている中、小池氏は23区内はもちろん奥多摩や、都心から約300キロ離れた八丈島まで、遊説先は広い範囲にわたっていました。

豊洲市場問題の公開は、どういった戦略的パフォーマンスなのか

 冒頭でも触れていますが、豊洲市場問題を公開したことで、小池都知事はトップの実務能力として必要な「①組織としての規律徹底と効率的な運営」への手腕を印象づけました。

 しかし、豊洲市場問題の公開は、その目的だけに実行されたものではなかったのだと考えられます。同時に「②明確なビジョンの下で実行できる」組織作りについても舵を切り始め、The First 90 Daysで1番初めにやらないといけない「チーム作り」にも着手したと推測できるのです。

 小池都知事の置かれているステークホルダー関係図は図2となります。選挙によって選ばれた外部の人間が、関係図の真ん中に入ることになり、彼女には「外部リーダー」としての戦略が求められます。

 外部リーダーがまずすべきことは、周囲との関係構築です。そこで、小池都知事は、チーム作りに向けた効果的な人心掌握を進めるために、豊洲市場問題の情報公開を起爆剤としても使ったのではないでしょうか。

 豊洲市場問題を公にしたことで、東京都庁の中で彼女に従う人、適切な情報を入れてくれる人、味方になってくれる人とそうでない人は明確に分かれます。また、「今までの都知事と違うすごいリーダーだ」と感じた人は、「彼女のために働こう」となるでしょう。外部リーダーとして必要な「チーム作り」を一気に加速させているのです。