リーダーシップチームで議論する場をつくる

 GEでは、LIG(Leadership, Innovation, and Growth)というセッションがありました。1週間マネジメントチームが集まり、事業を成長させるためのプランニングを行います。LIGは研修ではなく、経営陣が事業計画と行動計画を作り、すぐに行動を起こすことが期待されています。

 このLIGでは、ビジネスを考えていく上で、BOX1、BOX2、BOX3の領域ごとにイノベーションのレベルを設定し、議論していました。

 BOX1は現在のビジネス領域で大きな売り上げを作るイノベーションです。コア事業をより強くしていくには、どうしたらいいのかを議論します。例えば、売り上げを拡大するために、何ができるか。「中国やインドなどのアジアだけでなく、ブラジルをはじめとするラテンアメリカをターゲットにできないか?」など、新興国市場の議論をします。さらに、コア事業を強くしていくには、「オペレーションでイノベーションを起こせるか?」など、利益拡大の議論も行います。

 最近話題のAIによるオペレーションの効率化もこのBOX1で議論される内容です。

 BOX2は、現在のビジネスと隣接するエリアでのイノベーションを考えます。すでにある技術を違うマーケットや顧客に対して売っていけないか、今あるものを新しい分野に拡大する方法を検討します。

 隣接する領域とは、医療機器と製薬など近い分野を思い浮かべがちですが、自分たちが持っている技術や顧客が被る領域があれば、まったく違った分野でも隣接エリアと見なします。「半導体製造プロセスは、細胞培養プロセスに似ている。我々が持つ半導体製造技術をバイオのお客様に売れないか?」など、似ている部分を探し、普通で考えたらあり得ない領域を掛け算で考えて行きます。自分たちが「快適な領域(Comfort zone)」から出て行き挑戦する場所を探すのです。

 富士フイルムの写真フィルムで培ったコラーゲンやナノ化技術を化粧品開発に応用したケースは、BOX2の好事例です。

 BOX3は、まったく違う領域で革新的な製品やサービスやビジネスモデルでイノベーションを起こすことを模索します。例えば、当時はネットで物を売るという発想がない中でアマゾン・ドット・コムがオンライン書店を始めたり、タタ自動車が当時市販されている最も安い車より約40%も安い2500ドルの車をインドで売り始めたりしたことです。このBOX3の議論では、未来はどうなっていくのだろうか、世界はどうなっていくだろうかということを強制的に考えさせられます。

 自分たちのビジネスを全否定することになるかもしれません。しかし、事業の衰退は必ず起きること。将来起きる「リスク」と捉え、柔軟な発想で未来を創ることを考え、議論するのがポイントです。

 何も考えないのではなく、未来を考え、自分の事業をどうすれば成長させられるのか、まったく違う領域に踏み込んでいったらどうなるのか、考え議論する場を作ることで、構想力を磨いていくのです。

 未来を常に意識していると、ネットやテレビで目にするニュースからも、いろいろなヒントを得られるようになってきます。そこから自分なりの仮説を立てていくことでビジョンを作っていくことができるようになります。

 未来を創る構想力は、練習を重ねることでできるようになるので、是非新たな一歩を歩み出してください。

※本記事は守秘義務の観点から事案や設定を一部改変しています。