「女性リーダーは構想力に欠けている」との調査結果

 フランスのビジネス・スクールINSEADが、同校のエグゼクティブ・プログラムに参加した149カ国2816人の360度評価データを分析したところ、ビジネスチャンスやトレンドを察知し、戦略の新たな方向性を指し示す「構想力」は、女性は男性に劣っているという結果が出ました(1)。それ以外のリーダーシップ項目のほとんどは、女性の方が男性よりも高い評価を得ているという調査結果の中で、唯一劣っている項目が「構想力」だったのです。

(1) Herminia Ibarra, Otilia Obodaru, “Women and Vision Thing”, Harvard Business Review, January 2009.

 ハーミニア・イバーラ教授らは、この結果をさらに掘り下げ、女性リーダーの3つの特徴をまとめました。

1)女性リーダーにビジョンがないのではなく、ビジョンを生み出すプロセスが異なり、周囲から評価されにくい

2)具体的な事実や分析結果、細部をないがしろにするのを危険と捉え、根拠のないビジョンに基づいて指示を出さない

3)女性はビジョンを重要視しない

 1)では、女性リーダーは、多くの人を巻き込みながらビジョンを作るコラボレーション型であり、「みんなで作った」ことを強調する特徴が挙げられています。一方、男性リーダーは、少数精鋭で自らが中心となってビジョンを作り、「自分が作った」ことを明確にする傾向があります。

 どちらのプロセスが良いかは一概には言えませんが、プロセスによって、周囲へ与える印象に違いがあることを知っておいたほうが良いでしょう。

 2)の危ない橋を渡らない性質は、前回の記事「ヒラリー候補は本当に傲慢でリーダー不適格?」でも書いた、性別に対するステレオタイプの認識が女性の立場を厳しいものにしているため起きているとイバーラ教授は分析します。

 3)のビジョンを重視しない特徴は、女性リーダーが未来への構想を軽視するがゆえに構想力の重要性に懐疑的な傾向があることに起因します。組織を率いていくときに、現実的な路線を採ることが多いのです。それは、目の前の仕事の実績を出すことで、社内外の信頼を勝ち得て来た背景が、女性リーダーの行動パターンとなっているからです。

 イバーラ教授らの論文の指摘を真摯に受け止め、女性リーダーの課題である「構想力」の向上を図るには、意識的な訓練を通じてその獲得を目指す必要がありそうです。