「お母さん」的存在でなくても大丈夫

 ちょっと年上のお姉さん的な存在であった彼女から具体的なアドバイスをもらえたことが、私にはとても嬉しかったです。そして、彼女を見ることで多くの学びを得ました。彼女は男女関係なく、自分が苦労したことをヒントとして、お説教ではなく、建設的なアドバイスとして提供していたのです。

 上記のラドマン教授らが調査した、女性として持っているのが望ましい特性「周囲への気遣いが細やか」「手助けを惜しまない」ところが、彼女が周囲から評価される点なのでしょう。お母さん的手法でなくても、女性に求められる特性をリーダーとして出す方法があることを教えて貰ったプロジェクトとなりました。

 その後、いろいろとテストしてみたところ、昇進するまでは女性がリーダーとして足りないと思われている特性(自信や戦略性など)は、足りないと思われないように、普段よりも120%出す必要がありますが、昇進したら、その表現を80%程度にすると、批判を避けやすくなります。

 上記は自分のことを知っている人たちの中で仕事をするケースですが、自分のことを知らない人たちの中で働く場合は、社内での表現の半分以下のレベルまで下げることを心がけるとよいでしょう。また、発言の中身は変えなくても、枕詞を多用することで、「印象」をコントロールすることはある程度できます。

 自分の意見を言う時には、必ず「……と思っています」「いろいろなご意見もあると思いますが……」などの言葉を入れます。キャリア女性が使うとマイナスと言われている表現方法ですが、登用されるまではマイナスでも、登用されて周囲から反発され、潰されないためには使えるテクニックです。

 自分がここまでやるのは嫌と思わない範囲で、女性に求められる役割を果たすことで、周囲、特に男性から無用な批判を受けないリーダーシップ・スタイルを築くことができるのです。

女性リーダーとしてのあり方をもっと学びたいなら

 「日本には良い女性リーダーがいない」と言う人はとても多いのですが、本当にいないのでしょうか? 自分の心にバイアスがかかっていて、無意識に人を性的役割に合わせて評価してしまっていませんか? 

 同じように、クリントン氏についても、男性がそれをやったら傲慢に見えるのか? と自分に問いてみると、バイアスがかかった判断をしているかどうかがわかります。そして、あなたが女性なら、自分も同じように周囲から見られていることを意識してみましょう。

 女性に求められているリーダーシップ・スタイルについてより学びたい人は、スイスのビジネススクール・IMDのトーゲル教授が書いた『女性が管理職になったら読む本』(日本経済新聞出版社刊)がおススメです。この本では、前述のランドマン教授らの論文をはじめ、女性管理職が知っておくべき、ノウハウが紹介されています。