大きな相槌だけでも「傲慢」「偉そう」

 このように、社会には「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべきでない」「女性はこうあるべきでない」という暗黙のルールがあります。

 好戦的な対応力でリーダーシップを発揮したのは、元東京都知事の石原慎太郎さんです。彼は多くの人が、強いリーダー像を思い浮かべる人物であり、男性である石原さんが「好戦的」な特性を持っていてもマイナスに評価する人は少ないでしょう。

 しかし、女性リーダーが、「男性にとっては望ましいが、女性にはそうではない特性」を男性リーダーと同じように発揮してしまうと、傲慢だとか、横柄だと言われてしまうことがあるのです。時に、反発が起こるだけでなく、時にルールを破った人として、批判の対象となってしまいます。

 ある日本のニュース番組で、ヒラリー・クリントン氏が大きく相槌を打ちながら話を聞いていたのを「傲慢だ」「偉そうだ」と批評した方がいましたが、これが男性であれば何も言われなかったでしょう。クリントン氏にしてみれば、「本当にそうだと思ったからうなずいただけ」だったと思います。

 残念なことに、ドイツのメルケル首相、イギリスのメイ首相、IMFのラガルド専務理事、FRBのイエレン議長をはじめ、世界の主要国や国際組織を女性が率いていく時代になっても、このようなステレオタイプの見方は根強く残っているのです。

 では、女性リーダーは、どのようにリーダーシップを発揮していけばよいのでしょうか。

女性リーダーとしてどう振る舞えばいいのか?

 女性リーダーには、男性リーダーに期待される役割と女性に期待される役割の両方の特性が不可欠だと理解したものの、自分がどうやって振舞っていったらいいのか、当時の私は、非常に悩みました。

 前述のエグゼクティブ・コーチからは、ペプシコのインドラ・ヌーイ氏が参考になると言われたのですが、メディアを調べてみてわかったことは、彼女がペプシコのお母さん的存在だということ。当時、私は社内のマネジメント層では最も年齢が若かったこともあり、「職場のお母さん像」を狙うには無理がありました。

 そんな頃に、社内プロジェクトで、現在GEの副会長となったベス・コムストックさんと直接仕事をする機会に恵まれました。彼女から、トイレで一緒になった時に2回声をかけられてアドバイスをもらうことができたのです。

 1回目は会議でほとんど発言ができなかった直後に「あまり気負わず、思うことがあれば発言した方がいい」というアドバイスを。2回目は、私のプレゼンテーションに対して、「アジア人の女性がここまで積極的にプレゼンをすると、ダイバーシティーが進んでいるGEでも、女性なのに自信がありすぎると思われてしまう」というアドバイスをもらいました。

 このとき同時に、「私のスピーチは出席者によって変えているので、よかったら研究してみて」と教えてもらいました。その後よく見ていると、内容は変えていないものの、枕詞を変えたり、言い回しを工夫したりしているのがわかったのです。