東芝やタカタは言うまでもなく、工場が火事になったアスクル、政治の世界では二重国籍問題の蓮舫氏、さらにPR動画が物議を醸し、削除を余儀なくされたサントリー、見解コメントを出した牛乳石鹸など、謝罪のニュースを目にすることが多くなっています。

 企業の役員の方々とお目にかかる時にも、リーダーの謝罪のあり方についてはよく話題になります。謝るべきだったのか、それとも謝らないべきだったのかにはじまり、記者会見をすべきか否かなど、かなり具体的な内容に話は及びます。

 その際、私がゼネラル・エレクトリック(GE)に勤務してきた時に学んだリーダーとして謝罪をすべき基準に沿って、それぞれのケースについての私見を述べるようにしています。基準をベースにすると、どの点は良かったのか、どの点は変えた方が良いのか、自社の類似例はどう考えればよいのかの参考になるからです。本日は、その方法をご紹介します。

謝罪する基準を知ろう

 はじめて、会社の公式謝罪なるものを意識したのは、30代前半に、ジュリアーニ元ニューヨーク市長が立ち上げたリスク・マネジメント研修を受けたときでした。「修羅場研修」と名付けられたその研修では、個人情報漏えいの模擬の謝罪記者会見を体験しました。

 それまでは、現場の一要員として、謝罪会見の準備を手伝ったり、製品回収をしたり、回収後のネットでの会社の評判をモニタリングしたりと、現場作業の経験はあったものの、体系立てて謝罪について学ぶ機会がありませんでした。この研修に出たことで、「公式謝罪には方程式があるんだ!」と知ったのです。さらに、その後転職したGEで、会社がつけてくれていたエグゼクティブ・コーチから、リーダーになると謝罪する機会が増えるので、リーダーの謝罪について学び、スキルを身につけるように指導されました。

 その時に渡されたのが、バーバラ・ケラーマン著の『致命傷を戦略的に回避するCEOの公式謝罪はいかにあるべきか』(原題:“When Should a Leader Apologize and When Not?”、ダイヤモンド・ハーバードビジネスレビュー2006年8月号)という論文です。

 この論文では、企業の不祥事において、組織のリーダーが公の場で謝罪する際の正しい謝罪について論じています。その中で、公式謝罪の指針として以下が挙げられていました。

<公式謝罪の5つのステップ>
1:公式謝罪によって、どのようなメリットが得られるか
2:公式謝罪によって、誰にメリットがもたらせるか
3:公式謝罪の目的は何か
4:公式謝罪をすることでどうなるか
5:謝罪を拒否するとどうなるか
(出典:バーバラ・ケラーマン著、『致命傷を戦略的に回避するCEOの公式謝罪はいかにあるべきか』)

 さらに、完璧な謝罪の条件についても言及しています。

1:過失や不正を素直に認めること
2:しかるべき責任を果たすこと
3:謝罪の言葉を述べること
4:過ちを繰り返さないと誓うこと
5:タイミングを逸しないこと
(出典:バーバラ・ケラーマン著、『致命傷を戦略的に回避するCEOの公式謝罪はいかにあるべきか』)

 このように、謝罪をするかどうかには基準があり、また条件についてもすでに確立されたものがあるのです。もし、既存の謝罪フレームワークを知らないのであれば、それを知ることが、リーダーの謝罪について学ぶことの第一歩です。