マネジメントリポートの例。最も伝えたいことを左上に書くのが鉄則

現状が一目で分かるものにする

 KPIの状況はリポートの左上にまとめて掲載します。左上は、人間の目が最初に行く場所です。これは、目線の動きが自然と左上から見るようにできているからです。日本語だけでなく、英語でもこの目線の動きは変わらないので、グローバルに使えます。KPIでなくても、まず見てもらいたいものを1枚目の左上に載せると良いでしょう。

 KPIは、達成状況に応じて、赤・黄・青と色分けして表示します。これは、世界共通で赤・黄・青(緑)の3色が使われている交通信号に基づく考え方です。赤は進行不可、黄は停止、青は通行許可、という世界共通認識を利用して、KPIが達成されていない場合は「赤」を、達成されない可能性があるものは「黄」を、そして、順調に達成されている場合は「青」を使って表現します。色を使うことで、「順調に進んでいない」赤や黄のところが視覚的にパッと分かります。最近は、企業経営に必要なデータを統合・分析・予測してくれるアナリティクスを入れているところも多いので、自動生成されたものから必要な項目だけピックアップしてリポートに入れ込む場合もあると思います。その場合も、視覚的に分かりやすい色を使うことをオススメします。

 KPI以外は、どうしても目立たせたいところを除き、色の使用は控えるのがポイントです。何種類もの色を使っているリポートをよく見かけますが、どこに注目していいのか分かりにくく、時間が限られている経営層向きではありません。外部へ発表する資料など見栄えの良さが求められている場合はそれでいいのですが、社内資料は実益が一番です。

3つの視点を入れる

 GE時代、リーダーにとって大切なことは、(1)変化をドライブし、(2)パフォーマンスを出し、(3)インテグリティを守る、の3つだと学びました。1つ目の変化をドライブすることは、社長や役員の仕事で特に大切なものです。社長は最終責任者として、役員は社長と共に担当事業・部門を中心に、企業の成功と存続のために社内外のあらゆる事に対して意思決定とアクションをします。企業の存続というのは、既存事業だけではなかなか果たせません。常に変わりゆくマーケットを見ながら、その変化に対応する形で既存事業を伸ばし、そして、既存事業が衰退する前に新しい事業を作り出していくかが重要です。

 その彼らのミッションを支えるために、リポートには、現在、近い未来(2~3年)、中長期の未来の3つの視点を入れることを心がけましょう。

 例えば、営業系の部門であれば次の3つのが考えられます。
 ・現在の売上を伸ばす時の課題とアクション
 ・2~3年の売り上げを伸ばす時の、マーケットに起きている変化とそれに対する課題、自社として取り得るアクション
 ・中長期の売上を伸ばすための新規事業案

 営業系ではなく、バックオフィス系の部門であれば、将来のビジネス展開を予測し、自分の部門がどのようなことをしなければならないかを考えます。例えば、人事でしたら、未来のコア事業を作るために必要な人材要件は、現在の人材要件と異なる可能性があります。具体的に何がどう違うのか、どのくらいの人数が必要なのか、その人たちをどう養成するのかあるいは外部から採用するのか、現在働いている人たちはどうするのか、などの人事戦略を考えます。そのためには、日頃から、会社がどの分野に伸びて行こうとしているのか、事業ドメインはどうなるのかといった情報収集が必要となります。

 会社や部門の将来はリポートを作成する人自身で考えること。コンサルタントや企画担当者に任せっきりにしないようにしましょう。誰かが考えたものだとコミットメントが薄くなりがちです。もちろん、アドバイスとして利用することは悪くありません。

 未来のコア事業を作る具体的な手法については、別の機会に詳しくご紹介します。