目的とKPIをはっきりさせる

 3つのポイントに入る前に、前提として、目的とKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)がはっきりしていることが不可欠です。この指標を明確に設定せずに、単にリポートを書くという行為だけが継承されているケースをよく見かけます。まず、マネジメントリポートが、何のために使われているのか。目的を明確にする必要があります。例えば、オペレーション計画やリソース配分のような戦略的な決断を下すため、などです。

 また、どういう人たちが、マネジメントリポートを読んでいるのかについても事前に確認しておく必要があります。読む人(たち)は、リポートで扱うトピックスについてよく知っているのか? 決定プロセスにおいてどういう権限を持った人たちが読むのか? などの事前知識が不可欠です。よく知っている人たちが読むのであれば、細かい説明は不要です。しかし、よく知らない人が読む場合は、専門用語などは避け、平易な表現を使う必要があります。

 例えば、社長が技術畑出身ではない場合、技術用語を多用すると内容を理解してもらいにくくなります。今まできちんと説明したことがないまま「センサーとアクチュエータの要素技術開発が不可欠」と書かれていても、「一体何のことだ!?」と理解してもらえない可能性があります。この場合は、リポートの添付資料に専門用語を解説する1ページを付けたり、別の機会に説明したりするなどの工夫が必要です。

 報告書を提出する行為が形骸化している、あるいは、どういう目的かはっきりしない場合は、マネジメントリポートは、自分の部門が現状どのような状況にあるのかを一目で分かるようにすることが大切です。その中で部門責任者として何をどうしようとしているのか、そのために経営層からどういう支援が必要かを伝えるツールと位置づけるといいでしょう。そして、リポートを提出しながら、上層部の意向を探り、リポートを修正していく必要があります。

 目的や相手に応じてどう書くかを決めたら、自分の部門を評価するためのKPIを考えます。マネジメントの仕事の1つに評価測定がありますが、測定基準が無ければ、評価のしようがありません。自分が知るべきKPIと、社長をはじめとする上層部が必要とするKPIは同じ場合もありますが、異なるケースもあります。何をKPIにするかは、目的から決めるのが鉄則です。ここでは不必要にたくさんの情報を載せるのではなく、意思決定等に不可欠な情報のみを提供すること。管理職にはそうした能力も求められているのです。

 例えば、営業部門であれば、売り上げをKPIに置くケースは多いと思います。しかし、売り上げだけで本当に良いのでしょうか。売り上げは上がっていても、ターゲットとしている顧客が本当に獲得できているのか、1件あたりの金額は上がっているのか下がっているのかなども重要な指標となる場合があります。

 また、社員の離職が問題になっているのであれば、離職率をKPIとすべきでしょう。5年後に社員の半数が退職を迎えると分かっているのであれば、新卒・中途採用を進めて行かなければなりませんので、面接者数や入社決定者数がKPIになります。自分の部門をマネジメントしていく上で何が重要となるのか。戦略的な課題をKPIに落とし込んで、モニタリングすることが欠かせません。

 さらに、それをもう一段上の階層で考えたときに、重要なKPIは何でしょうか。上場している企業であれば、自分の部門の活動が株価にどう影響するのか、アナリストにどのような評価を受けるのかを考えてみると良いでしょう。