丹羽:ところが日本は相変わらず安倍さんが口でごちゃごちゃ言ってるだけ。そりゃお互いに力を尽くして日中友好のためにやりましょう、って言うけど、そんなもの何も言ってないのと一緒です。力を尽くしてめちゃめちゃにしましょうという首脳がいますか。みんな仲良くやってと、口だけは言うじゃない。それは習近平も分かっている。

山田:ところで、習近平と安倍さんって1歳違いですよね。ほぼ同世代なんですが、日本と中国で同時にああいうタイプの指導者が出てきたということに何か共通するものってあると思いますか。

丹羽:全然関係ない。同年代というだけでしょう。要はどれだけつらいことを経験しているかだ。習近平は経験している。安倍さんなんかいいところの出身でちやほやされて、国民がどれだけ厳しい生活に耐えてきたのか分かってない。どれだけ戦争で苦しめられたかとかも分かっていない。

山田:そうですね。確かにちょっと安倍さんを含めて日本人は自分がしゃべったことを外国がどう受け止めるかということに無頓着すぎると思います。

丹羽:その通り。それがやっぱり教養というもので、相手の立場でものを考えるぐらいの、多少の幅広さを持たないといけない。自分勝手にしゃべって、それが正しいと思っているわけだから。分かってないと言われる。

 ただ、習近平は親日的だと思うよ。会ったかぎりでは。

山田:そうですか。

日本大使館に来た胡錦涛

丹羽:彼は福建省に14年ぐらいいたでしょう。あそこは、長崎県や沖縄県が親しいです。ひょっとしたらかなり日本を知っているかもしれない。それと、彼は囲碁とサッカーが趣味です。だからAIの囲碁大会で中国チームが優勝したことも結構喜んでいるんじゃないの。

 彼はそんなに頭はよくないと言われる。李克強の方が優秀。でもそういう苦労をしているから、李克強よりは心があるんじゃないか。習近平は口数が多くないね。べらべらしゃべらない。

山田:物腰がやわらかいイメージがある胡錦涛の後だから日本人から見るとちょっとびっくりしちゃったというのもあるかもしれないですね。

丹羽:胡錦涛といえば、あの人は日本の大使館に中国の主席で来た、最初で最後の人。

山田:そうですか。

丹羽:私のときに来たんです。3.11のお見舞いで。

山田:素晴らしいですね、それは。

丹羽:それで30分話をした。話しているときにこの人はやっぱり官僚だと思った。そういうことから言うと、習近平も官僚かもしれないけど、胡錦涛よりはましだと思う。

 習近平を支える常務委員で共産党粛正に力を出している人もいるし、こういう人はこれからも必要だと思う。

山田:朱鎔基は国有企業の改革をしていたとき側近に「棺おけを100個用意しろ。99個は腐敗官僚のもの。1個はそういうやつらに恨みを買って殺される自分のものだ」と、大向こうをうならせるようなことを言いましたが、最近の中国の政治家はあまりこういうことは言わないですね。

丹羽:いずれにしろ、習近平には貧困層撲滅の問題を期待したい。農民工対策にも頑張って欲しい

山田:本当にそうです。本当に農民工は一生懸命にやっていて、お金を使わないレベルがすごいんですよ。本当に自分のために使わないです。子供とかのために貯めている。

丹羽:本当に彼らは偉い。ただ、全体的には心配ないです。だいたい2:6:2になるんです。だから救われる人も増えていく。